2011年7月16日(土)「しんぶん赤旗」

2次補正予算案に対する

宮本議員の質問

衆院本会議


 15日の衆院本会議で、日本共産党の宮本岳志議員が行った2次補正予算案に対する質問は次の通りです。


 被災地では、長引く避難生活による生活の困窮や雇用問題の深刻化とともに、「震災関連死」が相次いでいます。劣悪な避難所や仮設住宅の環境改善は待ったなしです。

 岩手、宮城、福島の被災3県でガレキ撤去されたのはわずか3割余。処分場所の確保や財政負担に国が全面的に責任を果たすことを明確にすべきです。

 一人ひとりの被災者が、破壊された生活の基盤を回復し、再出発できるよう支援することこそ、復旧・復興の基本です。復興の進め方については「計画をつくるのは住民合意で、実施は市町村と県・国が連携して、財政の大半は国の責任で」という原則を堅持すべきです。

国の支援早く

 漁業・水産業の再開・復興には、海のガレキ撤去を優先しながら、ワカメ、コンブ、カキ、秋サケなどの生産適期=「旬」にあわせた漁船・漁具の確保、養殖施設、魚市場、冷蔵施設・水産加工場などの一体的な復旧についての支援策が不可欠です。甚大な打撃を受けた被災地の地域経済を前向きに動かし、新たな雇用も創出できるのです。

 復興構想会議が示した「水産特区構想」も、企業が地元の意向を無視して強引に浜に入ることを許すものであってはなりません。

 なりわいの再建にとって「二重ローンの解消」は絶対に必要です。被災地にとって、「マイナスからでなく、せめてゼロからの出発を」というのが強い願いです。民間医療機関や私立学校、個人の住宅ローンにいたるまで、「二重ローン解消」の対策が急がれます。

 復興の大原則である「住民が主役で決める」ことの最大の障害となっているのが国の財政支援の方向が明確でないことです。建築制限がかけられている所では、都市計画決定がなければ前に進みません。集団移転や高台移転を希望しても、「防災集団移転促進事業」で国が出すのは4分の3で、4分の1は自治体の負担です。宮城県東松島市では市の負担が200億〜300億円と試算されています。震災で税収の大幅な落ち込みが予想される自治体が、膨大な負担で行うことは不可能です。住民総意で移転を求める集落・地域の取り組みには国が全額支援すべきではありませんか。

 津波で浸水した農地の復旧・除塩事業や地盤沈下した宅地のかさ上げは個人の力ではどうにもなりません。一時的に、農地・宅地を国が買い上げる制度についてもいっこうに具体化されません。どうするつもりですか。

雇用対策なし

 被災3県の雇用は、いっそう悪化しています。ハローワークの職業相談は40万件を超え、雇用保険離職票交付も13万件にのぼっています。来年卒業予定の高校生に対する求人は前年同月比で福島県が41%減、宮城県は28%減と深刻で、仕事の確保と雇用対策はまったなしです。ところが本補正予算にはまったく雇用関係の予算が組まれていません。雇用調整助成金の拡充、柔軟な適用や失業給付の額改善と期間延長、公的就労の場を確保することを含めて、真剣な対策が求められます。

 震災を口実にした大企業の身勝手な解雇・雇い止めを許さず、新規学卒者の採用を増やさせるなど、大企業に雇用と地域経済への社会的責任を果たさせることが必要です。

 大震災と原発事故の影響から、子どもと教育を守ることは被災地にとどまらず、全国民の切実な願いです。

 大震災による経済的貧困から子どもたちが学業を断念することがあってはなりません。学校納付金への減免制度をさらに拡充し、給付制の奨学金に道を開くことが求められています。「お金を貸す」のではなく、給付するのが当たり前です。

子の健康守れ

 被災した子どもたちへの心のケアも切実です。養護教諭、スクールカウンセラーを含め、教職員のさらなる増員をすべきです。

 子どもの健康を守るため、被ばく線量のモニタリングをきめ細かく行うこと、健康調査を内部被ばくを含めて行い、学校をはじめ子どもたちが生活するすべての場所で徹底した除染を行うべきです。

 創設される「福島県原子力被災者・子ども健康基金」の内容等については県に任されるということですか。

 周辺各県にも広がっている放射能被害から住民の健康を守り、安全・安心を確保するため、どのような手だてをとるのですか。

 福島県南相馬市に住む93歳の女性が6月、「足手まといになる」といって自らの命を絶ちました。痛ましい犠牲者を出さないため、一刻も早い原発事故の収束はもちろん、あらゆる努力を国が尽くすことを求めます。





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