2011年7月15日(金)「しんぶん赤旗」

九電“やらせ”メール社内調査

安全より原発再稼働

課長に責任転嫁 虚偽答弁も社内調整


 九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の2、3号機の運転再開をめぐる“やらせ”メール問題の本紙スクープ(2日付)から約2週間。しぶしぶ事実を認めた九電は14日、社内調査の報告書を公表しました。「民意」のねつ造と発覚にいたる過程からは、国民の安全より、原発再稼働に固執する九電の経営体質がみえてきます。 (矢野昌弘)


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(写真)再稼働をめぐってやらせ<=[ル問題が起きた玄海原子力発電所=2010年12月、佐賀県玄海町

 国が主催して佐賀県民の疑問や不安に答えるはずの“説明番組”(6月26日)で九電がねつ造した“民意”。本紙が報じた九電の“やらせ”メールは、ケーブルテレビなどで生放送された番組「しっかり聞きたい、玄海原発」の公平性をゆがめる悪質な行為です。その規模は、子会社や支店の取引会社、顧客までも巻き込む大がかりなものでした。

幹部が協議

 社内調査は、「賛成する意見の投稿を増やすことが必要である」と認識した段上(だんがみ)守副社長(当時)ら幹部3人の協議から始まった、会社ぐるみの行為であったことを認めました。

 同社の体質を象徴したのは、原子力発電本部の中村明部長(当時)の言動です。

 自らも関与していた中村氏は4日に行われた鹿児島県議会の原子力安全対策特別委員会に出席し、“やらせ”メールをただした日本共産党の松崎真琴県議に対し「そのような事実はない」と答えていたからです。川内原発を抱える地元県議会で、虚偽答弁をしたのです。

例文を添付

 しらを切ったのは、中村氏だけではありません。本紙の報道後に問い合わせた他のマスメディアにたいしても“やらせ”メールを否定してきました。

 その後、同社広報部は「社内調整をした上で」の虚偽回答だったと説明。隠ぺいも組織ぐるみだったのです。

 同社がようやく観念したのは、6日のこと。衆院予算委員会で日本共産党の笠井亮議員が追及し、同日夜に真部(まなべ)利応(としお)社長が会見で認めました。

 一連の対応は、玄海原発の再稼働に積極的だった海江田万里経済産業相をして、「電力会社の体質、思考は、今度の事故を経過しても何も変わっていないのではないか。大きな失望を感じた」(8日)とあきれさせるものでした。

 今回の社内調査には同社の無反省ぶりが透けて見えます。段上副社長らは「番組の周知を指示」したものの、担当社員によって「賛意の投稿を要請する行為につながり、説明番組に影響を与えることを全く認識していなかった」と結論付けています。“やらせ”メールの意図はなく、課長が「自らの判断で」行ったというのです。

 しかし“やらせ”を九電関係者に依頼したお願い文の文面からは、一課長の独断で行われるものとは到底、考えられません。

 お願い文では、「会社からではなく、自宅からメールを送るように」「一国民の立場から意見や質問を」などと、明記。“やらせ”メールの行為が悪質だと認識した上で、入念な正体隠しを図った形跡がみてとれます。佐賀支店では、“やらせ”の例文まで添付する念の入れようです。

国の責任も

 むしろ、“やらせ”を容認する社内体質があった疑いが濃厚です。九電は、2005年10月に行われた玄海原発でのプルサーマル発電についての住民説明会でも社員を動員したことが指摘されています。報告書でも8日に行われた県主催の説明会にグループ企業などから63人を動員したことを認めています。

 こうしたウソやねつ造が、これだけなのか、疑問は残ります。また国の責任も重大です。今回の“やらせ”メールの舞台となった、国主催の説明番組自体が7人しか参加できない“密室番組”と悪評高いものでした。

 いま問われているのは、国民の不安や疑問に国と電力会社が真剣に向き合うことです。地方議会や住民を愚弄(ぐろう)した“やらせ”メール問題の真相究明を、やらせ体質が染み付いた九電任せにせず、国が乗り出して調査すべきです。

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