2011年7月9日(土)「しんぶん赤旗」

米軍 無人機で爆撃 拡大

民間人被害に批判

6カ国で作戦


 【ワシントン=小林俊哉】オバマ米政権は、テロ組織掃討を理由とした海外での無人爆撃機による攻撃を拡大しています。民間人の被害が絶えないことから批判を呼んでいますが、今後も「攻撃の手を緩めない」(オバマ氏)としています。


 オバマ政権は、国際テロ組織アルカイダや関連組織に対し、ソマリアやイエメンで無人機による攻撃を拡大。米メディアによると、米軍はアフガニスタン、パキスタン、イラク、リビアを含め、最低でも6カ国で無人機による作戦を展開しているといいます。

「対テロ戦略」

 背景には、同政権の対テロ戦略があります。アルカイダ指導者ウサマ・ビンラディン容疑者の殺害などを受け、オバマ政権は6月29日、「対テロリズム戦略」を発表。アフガン、パキスタンでのアルカイダ掃討作戦を続行しながら、ソマリアのイスラム過激組織アッシャバーブ、イエメンの「アラビア半島のアルカイダ」などへの対策を強めると強調しました。

 同戦略の底流には、アフガン、イラクと二つの戦争に突入したブッシュ前政権の「対テロ戦争」方針の見直しという問題意識もあります。

 同戦略策定の中心となったブレナン大統領補佐官(対テロ担当)は発表当日の講演で、「われわれは、あえて“対テロ戦争”という言葉を使わない」と発言。漠然とした目的で大規模地上部隊を投入するようなことは避け、限定的なテロ掃討作戦へと戦略を転換する重要性を強調しました。

 オバマ氏は同戦略の前文で「誰とたたかっているのかを明確にし、具体的かつ現実的な目標を持たなければならない」と述べています。イラク、アフガン駐留米軍の撤退過程を進めながら、一方で、テロ組織を対象とした限定攻撃は強めるという方向です。

 同戦略の軍事面での柱として前面に出ているのが、無人機による攻撃や、特殊部隊の投入などです。

 しかし、米軍がアフガンやパキスタンで行っている無人機攻撃には、両国の政府・民間双方から強い批判が出ており、“反米感情”を強める要因ともなっています。

“開発競争”が

 米国が無人機攻撃を拡大するのに伴い、国際的に無人機の開発競争が強まっているとの指摘も出ています。米紙ワシントン・ポスト(5日付)によると、現在、50カ国以上が偵察用無人機を購入し、多くの国が武装無人機の国内開発計画を持っているといいます。同紙は、今後10年間で、無人機の購入・開発に940億ドルが支出されるとの予測も紹介し、「米軍の成功が拍車をかけている」と指摘しています。





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