2011年7月9日(土)「しんぶん赤旗」

原子力賠償支援機構 各党は

政府・与党 銀行に債権放棄求めず

自民・公明 公的資金の投入を強調


 「東京電力救済スキーム」ともいうべき原子力損害賠償支援機構法案が8日、衆院本会議で審議入りし、政府・各党の立場が浮き彫りになりました。

 菅直人首相は冒頭の答弁から「今国会中に法案が成立しなかったら東電による迅速かつ適切な損害賠償の支払いが滞る」とどう喝。民主党の高邑勉議員は、自党の責任を棚上げし、「政治はどうして足の引っ張り合いばかりしているのか」などと述べ、法案の成立を要求しました。

 海江田万里経済産業相は、各電力会社が「機構」に支払う負担金は「原発のコストとして料金原価に含まれる」と電気料金の値上げとして国民負担につながることを認めました。金融機関の責任については、「債権放棄を求めるものではない」と述べ、株主や金融機関、原発メーカーなどに負担を求める考えがないことを示しました。

 自民党の額賀福志郎議員は、「株主や金融機関も(東電と)無関係ではない」というものの負担は求めず、「公的資金を注入する以上、東電の資産内容、経営見直しなどについて厳正な評価が求められる」と東電を存続させるための税金投入を前提にした主張に終始しました。

 また、額賀氏は「負担金を各原子力事業者に課すと電気料金が上がり、さらに原発の再稼働も難航すれば、産業競争力が低下する」と財界とうり二つの主張を展開しました。

 首相は、「産業競争力の観点からエネルギー改革の推進や国内立地支援など競争力強化に向けた政策を幅広く検討していく」と応じました。

 公明党の佐藤茂樹議員は、「このままでは原発すべてが長期の運転停止に追い込まれ、生活や経済への影響が懸念される」などと再稼働を要求する立場から政権を攻撃しました。

 法案については「国の責任が極めてあいまいだ」と指摘。「一部では東電救済だという声も聞こえる」としながらも「東電に徹底した経営責任、株主責任を求めるのは当然」と述べるにとどまりました。

社民、みんな

 社民党の吉泉秀男議員は「まず東電が現有資産処分を含めて賠償を行うのが大前提だ」としたものの、株主や金融機関の責任には言及しませんでした。

 みんなの党の柿沢未途議員は「法的な破たん処理では当然の株主責任も金融機関の貸し手責任も問われない」としながら、求めたのは東電のリストラ、送電網の売却などでした。





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