2011年7月7日(木)「しんぶん赤旗」

原発再稼働 見直しに追い込む

衆院予算委 笠井議員の質問


 「再稼働要請は撤回すべきだ」。国会審議が再開された6日、衆院予算委員会で質問に立った日本共産党の笠井亮議員。「安全宣言」の根拠を突き崩し、再稼働の見直しに追い込みました。


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(写真)菅内閣の原発政策を追及する笠井亮議員(左)=6日、衆院予算委員会

IAEAに報告の「教訓」

笠井 「対策はとられたのか」

経産相 「安全だと判断した」

 海江田万里経済産業相は6月18日、安全性が確認されたとして定期点検などで停止中の全国の原発の再起動を地元自治体に要請。菅直人首相も翌日、「安全性が確認されたものは稼働していく」と発言しています。同29日には、海江田氏が佐賀県を訪れ、玄海原発は安心だとして再稼働を要請しました。

 笠井氏は、福島原発の事故について政府が国際原子力機関(IAEA)に提出した報告書で、28項目の「教訓」をあげていることを指摘し、政府の立場からしてもこれに基づく対策をとることが国際約束であることを強調しました。

 笠井 玄海原発ではこれらの教訓に基づく対策がとられたのか。

 経産相 「シビアアクシデント(過酷事故)防止策の強化」のうち短期的にやるべきものや「シビアアクシデントへの対応策の強化」についてそれぞれ報告を受けて安全だと判断した。

 笠井 短期的な対策しかやっていない。政府のいう「教訓」に基づく対策さえ終わっていないのに、なぜ「安心な原発」などといえるのか。

 笠井氏は、「福島の事故で反省したはずの『過酷事故はおきないから大丈夫』という安全神話そのものではないか」と批判しました。

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(写真)玄海原発・九州電力玄海原子力発電所の1号機(手前)と2号機(奥)=佐賀県玄海町

津波・地震対策

笠井 「再稼働先にありき」

首相 「全原発でストレステスト」

 笠井氏は、津波について「九電が『タンク周りの防護壁設置』を(政府に)報告しているが、もう防護壁はできたのか」と質問。海江田氏は「建屋などの防水性は大変、工事に時間がかかる」などとしか答えられませんでした。

 笠井氏は、防護壁の設置に3年程度かかり、外部電源対策もこれからだと指摘し、「電力会社に計画を提出させただけで対策はとられていない。なぜ安心な原発だといえるのか」と批判しました。

 地震への対策はどうか。

 海江田氏は「玄海の周辺の地震は活断層型であり備えができている」と説明しました。

 笠井氏は「大災害が来ない保証はどこにもないというのが福島原発の事故で明らかなことだ」と強調。「とった対策は小手先と言わざるを得ない。1週間でやれる程度の対策で、再稼働先にありきだ」と批判しました。

 笠井氏は、再稼働の口実に、電力不足や国際競争力が挙げられることに対して、「住民の安全確保と電力供給は両天びんにかけられない」という福井県知事の言葉を紹介。電力不足についても、九電会長が節電の目標を掲げる必要がないと述べていることを挙げ、「夏のピーク時の電力不足は液化天然ガスなど火力による緊急措置、節電・省エネで乗り切れると電力会社も言っている」と強調しました。

 笠井 本来、再稼働を要請するのは電力会社。国はチェックするのが役割ではないか。(IAEAへの)報告書を踏まえるということがまず先だ。

 菅首相 従来であれば保安院、経産相の判断で再稼働できるとなっているが国民的には納得いただくことは難しい。国民的に納得できるルールをまず明確にしていく努力が必要だと指示をしている。

 菅首相はこういって、再稼働要請を見直す考えを表明。「ヨーロッパなどで行われているストレステストを含めて、すべての原発について、共通のルールでチェックをできるような形を検討する」との考えを示しました。

笠井 「要請は白紙撤回に」

首相 「新しいルールでやる」

 笠井氏は、玄海原発2、3号機の運転再開に向け、経済産業省が主催した佐賀県民への説明番組での「やらせメール」問題を取り上げました。国側が選んだ県民7人に説明や回答をするもので、会場は非公開で一般傍聴も認められない“密室聴聞会”との批判の声が上がるものでした。

 笠井氏は、九電が関連会社の社員らに運転再開を支持する電子メールを投稿するように指示していたことを、九電関連会社の要請文書も示してただしました。

 笠井 説明会の正当性が問われる妨害行為、世論誘導工作ではないか。

 経産相 九電がそういうことをやっているとしたら、けしからん話だ。しかるべき措置を取ります。

 菅首相 大変けしからんことだと考える。

 笠井氏は政府のいう安全性は国民が納得できるものではないと指摘。原発立地自治体の首長から「論評に値する内容がない」「再開のさの字も出る状況ではない」など厳しい批判が上がっていることも紹介し、要請の撤回を求めました。

 笠井 国民の安全より再稼働優先は許されない。ルールをつくるというなら少なくとも再稼働は白紙にするべきだ。

 菅首相 これまで保安院が中心で原子力安全委員会も事前の相談にあずかっていなかった。原子力安全委員会もかかわった形のルールをつくって、国民が納得できる形で判断できるように両大臣に指示をした。

 笠井 一方でルールをつくるといって、一方で再稼働を要請したままになっている。再稼働要請はやめるべきだ。

 菅首相 従来の法律のままでは対応できないので、十分でないものは改めて新しいルールの中でやっていく必要がある。

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