2011年7月5日(火)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 イスラエルに「世界の諸国民の中の正義の人」という称号があります。第2次世界大戦の時、ナチス・ドイツがおこなったユダヤ人の絶滅、ホロコーストから、命がけでユダヤ人を救済した人々に与えられます▼日本人では唯一、数千人のユダヤ人を救った外交官・杉原千畝さんが顕彰されました。ポーランドでは6000人を超す人々が顕彰されています▼『ブリギーダの猫』(ヨアンナ・ルドニャンスカ著・田村和子訳)は、そんなポーランド人一家の物語です。主人公は、6歳の少女・ヘレナ。少女の両親もまた、「諸国民の中の正義の人」の受賞者でした▼ヘレナの両親は、命の危険を冒してユダヤ人をかくまいました。ある日、幼い娘をゲットー(ユダヤ人の強制居住区)に連れて行きます。狭くて、暗い街…。家の窓からこぼれ落ちそうなくらい、人があふれています。父親はヘレナに、「よく見て、記憶するんだ」と語ります。どんなにつらい現実でも、見て見ぬふりはしない、直視することを求めたのです▼ヘレナの記憶は、戦後『ブリギーダの猫』となって実り、ナチスの暴虐を告発します。体験を継承するとは、こういうことなのでしょう。子どもの世代から孫の世代へ。少しでもましな世界をつくってほしい、との願いを込めて▼今回の原発事故も、何が問題だったのか、どうすればいいのか、しっかり見据える必要があります。未来へとつないでいくために。なし崩し的に原発を再開することだけは、あってはなりません。





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