2011年7月4日(月)「しんぶん赤旗」

NHK日曜討論 市田書記局長の発言


 日本共産党の市田忠義書記局長が、3日のNHK番組「日曜討論」でおこなった発言を紹介します。


国会「空転」――政治の中身そっちのけの党略的政争

 まず、70日間の会期延長決定後も、全く審議がおこなわれていない国会の現状について議論となりました。

 民主党の岡田克也幹事長は、自民党の浜田和幸参院議員を政務官に任用したことが、「空転」の要因の一つだとして陳謝。自民党の石原伸晃幹事長は、責任は菅直人首相にあると指摘しました。

 これに対し市田氏は、次のように述べました。

 市田 一体、なんのために会期延長やったのかと言われてもしかたがありません。10日間ぐらい審議がおこなわれていない。しかも、政治の中身そっちのけの党略的政争です。菅首相と民主党に大きな責任があるが、「信頼関係がなくなった」などとして、自民、公明もなかなか審議に応じようとしない。率直に言わせてもらって、どっちもどっちだ。(東日本大震災の)被災者、国民は、「国会は一体どうなっているのか」「いいかげんにしてほしい」と怒っていると思います。

 そのうえで市田氏は、「やるべきことをやらないで、やってはならないことだけどんどん進めている」と菅政権を批判し、こう続けました。

 市田 「税と社会保障の一体改革」と称して、消費税増税の方向を打ち出す。まだ福島原発事故の収束のめどもついていないのに、「安全宣言」をやって、止まっている原発の再稼働を(要請し)、経済産業相が現地に行って、「万が一のことが起きたら政府が責任をもつ」と(言う)。福島問題でも、なんの責任も果たせていないのによくもこんなことが言える。やってはならないことはやる、やるべきことはやらない。これは、けしからんと言わざるをえないと思います。

2次補正予算――被災者の要望にこたえた救援・復興を

 次に、2次補正予算をめぐり議論となり、市田氏は次のように述べました。

 市田 2次補正予算ですが、10日間、審議がやられてこなかったわけで、スピード感をもってやるのは賛成です。同時に、内容的に深めるきちんとした議論が必要だと思います。

 震災から4カ月もたつのに、被災者の救援・復興について、国が本腰をいれてやるという点での仕事が遅々として進んでいないと思う。

 二重ローンの救済問題については、われわれも要求して、他党も要求して、その方向性が打ち出されました。それ自身はいい方向だと思う。

 しかし、問題は中身です。被災地の商店だとか、中小零細業者とか、あるいは農業者、漁業者が本当に救われるスキーム(枠組み)になっているのかどうか。そうはなっておらず、住宅ローンはまったく除かれている。そういう中身の問題をきちんとつめて議論していく必要あります。また、仮設住宅ができて、抽選であたったけれども、入れば光熱・水道費は全部自腹だという問題なども、きちんと手当てを講じていく。雇用保険の延長などもきちんとやっていく。そういう中身をきちんと議論し、被災者の要望にこたえていく必要があると思います。

再生可能エネ促進法案――原発撤退を決断してこそ爆発的普及

 菅首相が今国会での成立をめざす再生可能エネルギー促進法案について、各党の考えを問われ、岡田氏は「自然エネルギーか原発かという選択の話ではない。自然エネルギーだけではすべてを補うことはできない」と述べ、引き続き原発は必要との認識を示しました。石原氏は、「大きな対立点はない」と発言しました。

 市田氏はこう主張しました。

 市田 再生可能エネルギーへの転換をすすめるためには、原発からの撤退を決断するということが非常に大事で、そうしてこそ、自然エネルギーの爆発的な普及が進むと思います。今度の法案に関して言いますと、われわれは、全量固定価格で買い取る、それを電力会社に義務づけるということは、以前から主張してまいりました。

 電気料金に上乗せという問題がありますが、今も電力料金に電源開発促進税が上乗せされているわけです。年間約3500億円くらいです。これはほとんど原発推進に使われているわけです。このお金をきちんと充当すれば、電力料金に上乗せしないでやれるわけです。方向性は積極的ですが、そう(電気料金値上げに)ならないように、きちんとした対策を講じるという方向で審議をやっていきたいと思っています。

「一体改革」――中身は消費税増税と社会保障切り捨て

 次に、6月30日に政府・与党が、消費税を10%へ増税することなどをもりこんだ「税と社会保障の一体改革」の方針を決定したことをめぐり議論となりました。

 岡田氏は「非常に良いものができた」とした上で、「さらなる引き上げを含めた議論」の必要性まで述べました。石原氏は「閣議決定をしてもらいたい。そうしたら政党間協議だって応じる」とし、公明党の井上義久幹事長も「ぜひ、政党間協議をやりたい」と発言しました。

 これに対し市田氏は次のように批判しました。

 市田 大震災の救援と復興に、今、国民あげてとりくんでいるさなかです。しかもこれは、長期にわたると思うのです。そういうときに、消費税の増税などやれば国民の意欲を減退させて、暮らしと経済をどん底においやる。

 「社会保障の拡充のために」という、枕ことばがつくんですが、事実はまったく違います。中身を見れば、医療費の窓口負担は引き上げる、年金の支給開始年齢は先延ばし、生活保護支給水準は引き下げです。社会保障切り捨てのオンパレードで、消費税の増税だけがあるということです。これは、やってはならないことだと思います。

 (1997年の)橋本内閣のときに、景気が上向きで、国民の所得が上がり気味だったときに、(消費税率)3%を5%に引き上げた。医療費の負担も増えて9兆円の負担増となり、あれが景気を奈落の底に落とし込んだわけです。その教訓からいっても、財源というのなら消費税の増税ではなく、応能負担の原則で、負担能力に応じて税金は納めるやりかたにすべきだと思います。

菅首相発言――「脱原発」派でもなんでもない

 最後に菅首相が「エネルギー政策が、次期国政選挙でも最大の争点になる」と発言したことについて議論となり、市田氏はこう発言しました。

 市田 エネルギー政策を争点にということですが、あたかも菅総理が、「脱原発」派であるかのような宣伝がされています。しかしこれは事実と違うと思うのです。(昨年閣議決定された「エネルギー基本計画」は)原発を新たに14基増設し、原発依存度を50%以上に高めるとしました。これについて白紙から見直すと言いながら、この閣議決定はまったく手つかずです。

 (政権では)まだ安全対策もきちんとやられていない。福島原発事故の収束もやられていないのに再稼働についてOKをだす。決して、「脱原発」派でもなんでもないということをひとこと言っておきたいと思います。





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