2011年7月2日(土)「しんぶん赤旗」

菅首相 これで「脱原発」?

「廃炉」口にせず、再稼働にお墨付き


 市民団体による再生可能エネルギー促進の会合に出たり、「脱原発」解散をにおわせたり―。菅直人首相のこの間の言動をもって、マスメディアは「『脱原発』色を強める」(「朝日」)と報道しています。実態はどうなのでしょうか。


 菅首相は、「エネルギー基本計画を白紙から見直す」「原子力行政の改革に一定の方向を出したい」と大向こう受けする発言を繰り返しています。

浜岡以外は…

 しかし、14基もの原発を新増設するエネルギー基本計画を見直すのは当たり前。菅首相は見直すとはいっても、「原子力」を基幹エネルギーの一つに位置づける考えを変えていません。

 6月27日の会見でも記者団から「菅総理の考えは原発の維持なのか、廃炉に向かうのか」と二者択一で問われました。しかし、菅首相は「(原発の)安全性を徹底的に検証していく」と繰り返すだけ。「廃炉」の言葉は最後まで口にしませんでした。

 実際の行動で示しているのが、停止中の原発の再稼働問題です。

 菅首相は、浜岡原発(静岡県御前崎市)以外の原発の運転停止を要請するかと問われたのに対し、「ありません」(5月8日)と明言。6月18日に海江田万里経済産業相が原発立地自治体に再稼働を要請しましたが、翌日には「私もまったく同じ」と追認しました。

 6月27日の記者会見では「安全が確認されたものは再稼働」と述べ、住民の反対を無視して海江田経産相が玄海原発(佐賀県)の再稼働を要請することに首相の“お墨付き”を与えたのです。

胸張れるのか

 福島第1原発事故について、菅首相は6月28日の民主党両院議員総会のあいさつで、「IAEA(国際原子力機関)に提出した報告書でも、できるだけ率直に政府として問題点を明らかにした」と胸を張りました。

 同報告書の「教訓」なるものも、今回の事故で明らかになった原発の「異質な危険」を直視したものとはいえません。そのうえ、再稼働要請に際してとった対策は、炉心損傷で水素が発生しそうなときは“ドリルで原子炉建屋に穴を開ける”など、同報告書の「教訓」に照らしても、ごく一部に手をつけたものにすぎません。

 そもそも重大事故が起きれば、空間的にも時間的にも社会的にも限定することができない被害を出すのが原発です。原発事故の危険を最小にするために最大限の措置をとることは必要ですが、重大事故が起きる可能性はゼロになりません。

 原発の「安全神話」から抜け出せず、原発からの撤退を決断できないのが、いまの菅首相です。再生可能エネルギーの本格的導入も絵に描いたもちにならざるを得ません。(松田繁郎)





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