2011年6月29日(水)「しんぶん赤旗」

東電の責任追及 噴出

株主総会 原発撤退求める提案も

所要時間最長 6時間超


 東京、中部、九州、北陸の電力4社の株主総会が28日に行われ、東京電力福島原子力発電所の事故を受け株主からは原発の安全性を不安視する意見や経営責任を問う声が相次ぎました。東京、中部、九州の各電力会社の総会では、原発からの撤退を訴える株主提案が出されました。


 東京電力の株主総会の所要時間は6時間9分で、これまでの最長だった3時間42分を大幅に上回りました。

 会場は原発事故の経営責任を問う怒号などに包まれ、総会議長を務めた勝俣恒久会長への議長不信任動議も出されました。

 出席した株主からは「2009年の株主総会にも出席して、福島原発を廃炉にするよう提案をした。あのとき真剣に議論して議案を通していれば、今回の事態は回避できた」「放出された汚染水のデータはすべて正確には公表されていない。子どもには今後影響が出てくる。経営陣がきちんと責任をとらないとけじめがつかない」などの意見が出されました。

 原発からの撤退を求める株主提案は反対多数で否決されました。福島県の南相馬市と白河市は、原発撤退を求める他の株主の提案に賛成しました。南相馬市は東電株を444株、白河市は161株保有しています。南相馬市は昨年まで、株主総会の議決に参加していませんでしたが、原発事故を踏まえ市長が判断。一方、白河市はこれまでも新エネルギーへの転換を求める提案に賛成してきましたが、今回は「福島原発事故も考慮した」としています。

 総会会場の外で50代の男性の株主は「役員は全員クビだ。天下りも駄目だ。地熱や風力など新しいエネルギーも取り入れてほしい」と話していました。

 総会は17人の取締役、2人の監査役を選任する会社提案を賛成多数で可決。総会後の取締役会で清水正孝社長が顧問に退き、後任に西沢俊夫常務が昇格する人事を決定しました。

無反省ぶり 総会でも

会長が強引進行 解任動議も

東電株主9300人出席

写真

(写真)東京電力の株主総会の様子を伝えるモニター=28日午前、東京・内幸町の同本社

 28日に行われた東京電力の株主総会。株主からは従来の経営体質の脱却を求める声が相次ぎました。これに対する経営陣の対応は、事故への反省のない体質を露呈するものになりました。

 この日の総会には、これまでの最多記録の3倍近い9300人が集まりました。

 福島第1原発の事故について、勝俣恒久会長は「史上まれにみる地震に起因するものであり、原子力賠償法の免責条項に該当する解釈が十分可能な異常に巨大な天災」と、経営責任を転嫁する発言。

 総会を取り仕切る議長を勝俣会長がつとめましたが、冒頭から議長の資格を問う動議があがりました。

 自身の解任動議を受けて参加者に賛否を聞いた勝俣会長。挙手の数が拮抗(きっこう)したように見えましたが、賛成の数を明かすことなく「反対多数で否決します」と却下。

 経営方針への疑問や反対とともに「今回の総会でどんな発言があったか、議事録に記録し、公開すべきだ」「全ての質問を受け付けるべきだ」など、要望があがりました。これらの声に勝俣会長は「会社法では、質疑のやり取りを逐一、記載する必要はない」「十分な質疑が尽くされた」と却下する強引な進行を行い、ヤジや怒号があがりました。

 提案された新しい取締役に、17人中16人が留任することにも批判が集中。これにも勝俣会長は「人格、経験、見識とも取締役にふさわしい」と発言する始末。

 総会では、402人の株主による「我が社は、古い原発から順に停止・廃炉とする。原発の新設・増設は行わない」とした定款の一部提案がありました。

 説明をした福島県から石川県へ避難している男性は「学校のグラウンドで遊べない育ち盛りの福島の子どもたちのことを取締役は自分の孫や子と重ねあわせてください。こんな体験は私たちだけで十分だ。この提案を高らかに議決して」と切々と訴えました。

 会場からは「50年来、東電を応援してきたが、この提案に賛成。東電は新しい電力の形を提案すべきだ。それなら株価が0円でも応援する」といった発言が続きました。

 原発からの撤退提案は、採決にかけられ、130万の議決権のうち、大企業などが持つ107万の委任状をもった取締役側の反対多数で否決。6時間超の過去最長の総会となりました。





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