2011年6月26日(日)「しんぶん赤旗」
住み続けられる団地に
全国公団自治協総会 活発に論議
“防災に力を”相次ぐ
全国公団住宅自治会協議会の第38回定期総会がこのほど、群馬県安中市で開かれ、「公団住宅の売却・削減・民営化をゆるさず、公共住宅として継続させる、家賃値上げ10月実施のとりやめ、収入と負担能力に応じた住み続けられる家賃制度の確立」などの総会決議を採択しました。東日本大震災に関連する発言が相次ぎ、団地での自治会活動を改めて見直す転機となりました。
![]() (写真)群馬県安中市で開かれた全国公団住宅自治会協議会の定期総会 |
東京都清瀬市の旭が丘団地には、福島県の被災者15世帯が避難していることが分かり、自治会として保育園への入所や駐車場の確保(無料)、クーラーや網戸の設置などについて行政や都市再生機構(UR)に交渉し、実現しました。同町田市の山崎団地でも40世帯余の被災者が入居、5月には自治会が“励ますつどい”を行いました。
大震災を契機に防災対策に力を注ぐ自治会も増えています。
津波に備え交流
神奈川県茅ケ崎市の浜見平団地では津波被害に備えて防災対策交流会を開くなど安全・安心の団地づくりに取り組んでいます。
埼玉県富士見市のコンフォール鶴瀬団地では、大震災でエレベーターや水道が停止する被害を受けました。70歳以上の高齢者も多く住み、人工呼吸器の人もいます。計画停電の知らせがあり、市長に電話し、東電に直談判させ、計画停電対象から団地をはずさせた経験を報告しました。
同県新所沢団地からは、屋上に太陽光パネルを設置するなどの自然エネルギーの導入をURに求める活動を強めようと提案。「屋上に太陽光パネル設置は、どこの団地でも可能だ」などの積極的発言もありました。
居住者の高齢化がすすむなかで、現在の家賃に耐え切れない世帯も増えています。しかし、URはことし3月に、4月からの家賃値上げ実施を発表(ただし「負担軽減措置」として、4月から6カ月間は値上げ分全額免除、あと6カ月間は半額免除)しました。
埼玉県の原市団地や東京都の大島6丁目団地からは、URが近傍同種家賃という民間並み家賃にするとしている、その家賃算定の基礎となる利便性について意見が出ました。「『団地内店舗が整っている』としているが、実際には、銀行の窓口も撤退、商店街は空き店舗があるなど事実に反している。実態を反映していない家賃だ。収入に見合った家賃にしてほしい」
民営化の弊害が
管理の民営化が進められていますが、その弊害についても意見が続出しました。
千葉県の大久保団地では「清掃業者を選定する競争入札では、URが示した価格の46%という超低価格で落札。その結果、従事する労働者の日給は750円で千葉県の最低賃金744円をわずかだけ上回るものだ」との指摘もありました。
こうした低賃金雇用によって、手抜き業務や、業者が赤字になるなどの影響が懸念されます。
URは、団地再編・削減計画をすすめています。団地を削減し集約化する計画になっている大阪府の香里団地では、削減対象になっていた5棟の団地の移転実施が延期されました。住民の反対運動とURの見通しのない、ずさんな計画の結果といえます。
総会では新役員を選出、日本共産党中央委員会のメッセージが紹介されました。 (国民運動委員会・高瀬康正)


