2011年6月24日(金)「しんぶん赤旗」

もんじゅ 落下装置回収へ


 福井県敦賀市の高速増殖炉「もんじゅ」で昨年8月、燃料交換用の装置が撤去作業中に落下したトラブルで、日本原子力研究開発機構は23日夜、装置を原子炉容器から引き抜く作業を始めました。24日までかかる見通しです。完了後、装置の分解点検などを行った上で秋頃の復旧を目指します。

 もんじゅでは昨年8月、燃料交換に使った「炉内中継装置」(長さ12メートル、重さ3・3トン)を原子炉容器から引き抜く際、2メートル引き上げたところで装置が落下。つり上げ機器の異常が原因でした。

 昨年10月に中継装置の引き抜きを2度試みましたが、落下によって装置が変形し、原子炉容器の上ぶたに引っかかって抜けなくなったため、原子力機構は装置外側の「スリーブ」と呼ばれる筒と一緒に引き抜くことにしました。


解説

高速増殖炉は直ちに廃炉に

 高速増殖炉「もんじゅ」は、燃料に毒性の強いプルトニウムを使用し、冷却材に水や空気と激しく反応するナトリウムを使用しています。1995年12月にナトリウム漏れ・火災事故を起こして14年5カ月も運転を再開できなかったことにみられるように、技術的な困難さと危険性を抱えた原発です。

 もんじゅは、80年代に建設が始まった老朽原発です。重さが3トン以上もある燃料交換用の「炉内中継装置」が原子炉内に落下したことで、原子炉などに悪影響を及ぼした可能性もあります。

 しかも、もんじゅのある敦賀半島とその周辺には活断層が縦横に走り、原子炉建屋自体、活断層から200メートルのところにあります。地震で原発が取り返しのつかない深刻な事態に陥ることは、東日本大震災で東京電力福島第1原発の例からも明らかです。

 国と日本原子力研究開発機構は、もんじゅをただちに廃炉にし、一般の原発の使用済み核燃料からプルトニウムを取り出して利用する「プルトニウム循環方式」から撤退すべきです。 (間宮利夫)





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