2011年6月24日(金)「しんぶん赤旗」
アフガン米軍撤退 増派の3万人だけ
オバマ大統領演説
来年9月までに
【ワシントン=小林俊哉】オバマ米大統領は22日、ホワイトハウスでアフガニスタン戦争について演説し、現在10万人規模の駐留米軍の撤退過程を7月に開始すると表明、2010年1月以降に増派した3万3千人を12年9月までに撤退させる方針を明らかにしました。
10月で11年目に突入するアフガン戦争で、初めて米国として撤退過程の道筋を示しました。しかし増派分を撤退させてもなお、6万8千人の米軍部隊が残ります。オバマ氏は演説で、増派分のうち今年中に1万人、12年9月までに残りを撤退させると表明。その後は「着実なペース」で撤退を続けるとしています。
オバマ氏は、撤退開始が可能となった理由として、国際テロ組織アルカイダが弱体化したことなどを指摘。「和平は政治的解決抜きに実現できない」として、戦争終結に向け、アフガニスタンの反政府勢力タリバンとの和解交渉に「米国として参加する」と公式に表明しました。
14年を目標とするアフガン政府への治安権限の完全移譲をすすめるため、来年5月、オバマ氏自身が議長となって開催される主要8カ国首脳会議(G8サミット)にあわせて、イリノイ州シカゴで北大西洋条約機構(NATO)首脳会議を開催すると述べました。
またオバマ氏は、深刻な雇用・経済状況や財政危機を踏まえ、「米国は、いまや国内の再建に焦点をあてるべきときだ」と表明しました。この10年間で米国が支出したアフガン戦費は少なく見積もっても4430億ドル(35兆7000億円)に上ります。
さらにオバマ氏は、イラク、アフガン両戦争からの教訓として、直接的な脅威にさらされた場合は軍事行動に訴えるものの「必ずしも大規模地上部隊を海外に派遣する必要はない」とも述べました。
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