2011年6月24日(金)「しんぶん赤旗」

労働相談 高どまり

10年度件数 厚労省調査


 厚生労働省はこのほど、2010年度「個別労働紛争解決制度施行状況」をまとめました。

 同制度は、増えつづける個々の労働者と事業主との紛争を迅速かつ適正に解決するため、01年10月に施行されました。労働局、労働基準監督署などに総合労働相談コーナーを設置して相談に応じています。

 それによると、総合労働相談は113万234件(前年度比0・9%減)。このうち、民事上の個別労働紛争相談は24万6907件(同0・2%減)、助言・指導申出受理件数は7692件(同1・1%減)でした。過去最多だった前年度水準で高止まりしています。あっせん申請受理件数は6390件(同18・3%減)で大きく減少しました。

 相談内容は、トップが「解雇」21・2%、次いで「いじめ・嫌がらせ」13・9%、「労働条件の引下げ」13・1%と続きます。前年度と比べて、「解雇」は13・0%減少し、「いじめ・嫌がらせ」が10・2%増加するなど多様化しました。

 相談者は、労働者が大半で、事業主は11・4%でした。労働者のうち、正社員が44・0%と最多で、パート・アルバイトは17・6%、契約社員10・2%、派遣労働者は4・0%。前年度比で、正社員、派遣労働者は減り、パート・アルバイト、契約社員が増えています。

 処理期間は、助言・指導は1カ月以内が97・6%(前年度比2・0%増)、あっせんは2カ月以内が93・6%(同3・1%増)で、迅速な処理が実現できたとしています。


助言・指導、あっせんの事例

 厚生労働省が明らかにした10年度の助言・指導とあっせんの事例を紹介します。

 【助言・指導】労働条件引き下げの事例

 申出人は、週4日、1日6時間30分勤務の契約で、弁当売り場の販売員をしていた。入社半年を過ぎた頃から、他店舗へ応援に行くことが多くなり、労働時間が極端に減り、1日1〜2時間の日もでてきた。さらに、今後の労働条件についてたずねたところ、「仕事がないから当分休んでいて」と言われた。当初の契約に戻してほしいと思い、労働局長の助言・指導を申し出た。

 →助言・指導の内容・結果

 事業主に対し、労働契約で定められた労働条件の不利益変更および配置転換の合理性について説明し、当初の契約内容の履行をおこなうように助言した。

 労働局長の助言・指導をふまえ、事業主が申出人と話し合った結果、週4日制のシフトに戻すこととなった。

 【あっせん】解雇(メンタルヘルス)の事例

 申請人は、10年以上正社員として勤務していたが、仕事によるストレス性急性障害で入院した。その約1カ月後に復職したが、営業に異動させられ、さらに、「営業は正社員ではないから、社会保険も今月で終わりだ」と突然いわれた。これは明らかにリストラ扱いだと思う。正社員としての地位保全を求めたいが、不可能であれば補償金○○万円を求めたい。

 →あっせんのポイント・結果

 あっせん委員が双方の話の主張をまとめ、当事者間の調整をはかったところ、○○万円を支払うことで合意が成立した。

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