2011年6月23日(木)「しんぶん赤旗」

主張

「2プラス2」

軍事同盟絶対まだ続けるのか


 日米両政府が日米安全保障協議委員会(2プラス2=外交軍事閣僚協議)でうちだした日米軍事同盟をいっそう強化・拡大する方向は、日本と世界の平和と安全にとってきわめて重大です。

 「2プラス2」の開催は4年ぶりで、民主党政権にとっては初めてです。にもかかわらず民主党政権が協議で受け入れたのは、アメリカいいなりに日米軍事同盟をいっそう強化・拡大するものばかりです。これが日米同盟の「深化」だというなら、平和を求める日本国民の願いに背を向けた日米合意を認めるわけにはいきません。

新たな共通戦略目標

 「2プラス2」は、「より深化し、拡大する日米同盟に向けて―50年間のパートナーシップの基盤の上に」と題する共同発表と、「在日米軍の再編の進展」、「在日米軍駐留経費負担」などの文書を発表しました。合意文書にもりこまれた沖縄の普天間基地「移設」合意の再確認や日米共同開発の弾道ミサイル迎撃ミサイルの輸出容認、鹿児島県西之表市にある馬毛島の米空母艦載機の離着陸訓練基地化などは、すべて米国の要求事項です。米国の要求を丸ごと受け入れたのは、与党からさえ辞任を迫られる菅直人政権が、延命のために米国の歓心を買う狙いからだといわれても仕方がありません。

 とりわけ「共同発表」が2005年と07年の「共通の戦略目標」を再確認し、更新したことは重大です。新たな「共通の戦略目標」は米政府が戦略的に重要だとみなすアジア太平洋と世界の諸問題をすべて列挙し、「変化する地域及び世界の安全保障環境に対処するため」、日米が共同して世界各地で軍事的対応を加速する方向を鮮明にしました。日本の「平和と安全」にかかわりなく、世界的規模で日米が共同して軍事活動を展開しようというものです。

 「東日本大震災への対応における協力」と題した文書が、大震災での米軍と自衛隊の共同作戦について、「この経験は、将来のあらゆる事態への対応のモデルとなる」と認めたのも重大です。米国がアジアや世界で戦争をはじめた場合にもこの体制がモデルになるということです。米統合参謀本部作成の「国家軍事戦略」(2月発表)は「日本の自衛隊と協力して、その域外作戦能力を向上させていく」と明記しています。自衛隊の海外派兵と海外での共同作戦に拍車がかかるのは間違いありません。

 「2プラス2」で合意された一連の文書は、民主党政権が自民党政権とまったく変わらない日米軍事同盟絶対の立場に立っていることをうきぼりにしています。いったいいつまで続けるつもりか。憲法をないがしろにする危険な企てを封じ込めることが不可欠です。

沖縄の怒りの声聞け

 「2プラス2」の文書は沖縄の普天間基地を名護市辺野古に「移設」する計画を確認し、新基地の滑走路の形状を「V字形」一本に絞り込みました。新基地建設計画の破綻が明確になっているのに、「移設」が「14年より後のできる限り早い時期に完了させる」とあくまで明記したのは、新基地に反対する県民を愚弄(ぐろう)するものです。

 6月23日は66年前の太平洋戦争末期の沖縄戦で日本軍の組織的抵抗が終わった日です。戦争も基地もない沖縄を願う県民の声に逆らうのはもうやめるべきです。





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