2011年6月21日(火)「しんぶん赤旗」

福島第1の浄化装置停止

「高濃度」汚染が原因

東電見解


 東京電力は20日、福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の汚染水処理システムが停止した問題で、非常に高濃度の放射能汚染水が流れ込んだことが原因とする見方を明らかにしました。

 処理システムは19日に本格運転を開始しましたが、わずか5時間後に停止しました。セシウム吸着装置のうち、汚染水が最初に通る油と放射性物質テクネチウムを除去する吸着塔の放射線量が、装置の交換基準の表面線量(毎時4ミリシーベルト)を超えたためでした。東電は、汚染水に高濃度の汚泥が含まれていて、吸着塔内のゼオライト(沸石)に付着したのが原因ではないかとみて調べていました。

 19日に、吸着塔にゼオライトを入れたものと水だけで満たしたものなど、条件を変えて実験。その結果、水だけのものが最も高線量だったことから、取り込んだ放射性物質よりも、流れている汚染水の方が、表面線量の上昇に寄与していることが判明しました。またセシウム濃度を10万分の1に減らす性能を確認しました。20日にも実験を続け、その結果をみて、今後の運用方法を検討します。

 汚染水の移送配管では、これまでに毎時180ミリシーベルトといった高い表面線量が測定されていました。

 建屋地下などに日々たまり続けている汚染水は、数日後にも外部への漏出が心配される切迫した状況です。処理システムの稼働が急がれる局面で、汚染水の影響評価の甘さが問われます。

 また東電は20日、2号機タービン建屋地下などの汚染水を、1号機の復水器に移送する作業を開始しました。

 二重扉を19日に開放した2号機の原子炉建屋では、20日早朝、作業員4人が入り放射線量や温度、湿度を測定しました。湿度が99・9%から、場所によっては60%以下に低下したことが確認され、東電は「懸案だった湿度がかなり改善されている」としています。同日午後には搬入口を開放し、建屋内での自然換気を進めています。今後、水位計や圧力計の調整をする予定です。





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