2011年6月20日(月)「しんぶん赤旗」

日本共産党 被災者の声を届け実現


 東日本大震災と福島原発事故が発生して100日。日本共産党国会議員団は、被災地を訪ね、切実な要求を国会質問や提言などでとりあげ、実現を求めてきました。被災者や国民の運動と結んで実現した取り組みをみると―。


支援金が満額に

写真

(写真)荒浜地区の津波被害の現状を調査する志位和夫委員長(中央)、市田忠義書記局長(その右)ら=5月8日、仙台市若林区

 生活再建支援制度では、家屋全壊でも支給額は最高300万円です。志位和夫委員長は3月31日の菅直人首相との党首会談で、支援金の大幅な増額を提起。菅首相は「引き上げが必要だと思っている」と答えました。

 しかし、1次補正予算では100万円しか支給できません。党議員団の質問に松本龍防災相は「満額支給する決意だ」(5月24日、衆院復興特別委員会)と答えました。

 政府は、これまで支援金の対象外だった半壊以下の住宅、店舗、工場にも、自治体が国の「社会資本整備総合交付金」を活用することで助成できると認めました(5月12日、大門実紀史議員の参院財政金融委の質問など)。住宅と生業再建への力となるものです。

 6月15日には大塚耕平厚労副大臣が参院復興特別委で、大門氏に対し、マンションの共用部分も災害救助法の住宅応急修理制度の対象にすると答えました。被災マンション住民にとって朗報です。

液状化に新基準

 地盤の液状化被害救済へ向けて、生活再建支援制度の認定基準が見直されました。傾斜基準を緩和し、建物の「沈み込み」基準を新たに設定(4月15日、衆院総務委で塩川鉄也議員に松本防災相が答弁)。千葉県浦安市では3000棟以上が認定される見通しです。

鉄道・病院復旧

 鉄道復旧へ、国庫補助が4分の1から4分の3へ引き上げられる見通しです(5月24日、衆院復興特別委で穀田恵二議員に大畠章宏国交相が答弁)。公立病院など公営企業の復旧支援へも公費拡大の特例措置(4月25日の参院予算委での田村智子議員、同26日の参院総務委での山下芳生議員の質問)が行われます。

二重ローン解消

 「マイナスからのスタートではなく、せめてゼロからスタートしたい」―商工業、農林水産業など中小零細業者の願いに応えて、公的機関が関与して債務凍結・免除を行うスキーム(枠組み)をいち早く提起(5月13日の参院予算委で大門氏)。菅首相は「大変検討に値する」と答弁しました。

税の減免を拡大

 税制支援などを盛り込んだ税制特例法案が4月28日、参院本会議で成立しました。寄付金控除拡大や自動車重量税の免税など、阪神・淡路大震災時にはない支援策も盛り込まれました。

 ほかにも滞納処分停止、社会保険料の1年免除、医療費の窓口負担無料化拡大、就学援助・授業料減免拡大なども、質問で取り上げて実現したものです。

原発撤退へ転換はかる

 いまだに収束の見通しがみえない原発事故。日本共産党は、「原発からのすみやかな撤退、自然エネルギーの本格的導入を」(6月13日発表の提言)の立場から、原発依存のエネルギー政策の根本的転換を求めてきました。

独立規制機関を

 原子力災害対策本部は6月7日、原子力安全・保安院を、原子力発電の推進機関である経済産業省から独立させるとする報告書を国際原子力機関(IAEA)に提出。20日からウィーンで開かれる閣僚会議で討議されます。

 日本共産党は、1990年代から推進機関と規制機関の分離を国会で政府に求めていました。3月31日の党首会談では志位委員長が提起し実現を迫りました。

浜岡止めた質問

 東海地震の想定震源域の真上にある浜岡原発(静岡県御前崎市)。運転停止を求める質問に菅首相は「安心してもらえるのかしっかり見極め判断する」(5月2日、参院予算委の大門氏の質問)と答弁。その直後の6日、菅首相は全原子炉の停止を中部電力に要請、同原発の運転は止まりました。

国の全面賠償へ

 日本共産党は、国が責任を持って東京電力に原発事故被害の全面賠償とすみやかな仮払いを行わせるよう求めてきました。政府は、自主避難者も損害賠償の対象になることを認め、公立学校の校庭の表土除去費についても、ほぼ全額が国庫補助となることが実現しました。


共産党国会議員団の主な取り組みと成果

【住宅再建など】
○民間アパートなどを借りている場合でも仮設住宅とみなす
○仮設住宅建設に地元産材・国産材の活用
○「半壊」未満世帯を支援―自治体が国の社会資本整備総合交付金を活用して、住宅、店舗、工場の補修への助成が可能に
○マンション共用部分も災害救助法の住宅応急修理制度の対象に

【交通機関復旧】
○鉄道復旧費の国庫補助を4分の1から4分の3に引き上げへ

【公立病院再建】
○公立病院など公営企業の復旧支援で公費拡大の特例措置

【がれき撤去】
○がれき撤去を国費負担。自前撤去分や船と車の撤去費も含める

【液状化対策】
○住宅再建支援制度の認定基準見直しで救済

【減税・雇用等】
○所得税軽減や自動車重量税免税など税制特例法成立
○税滞納処分停止
○企業の社会保険料を1年間免除
○り災証明発行簡素化―津波による住居被害認定に航空写真活用
○雇用調整助成金の要件緩和を東北5県から全国に拡大
○雇用創出基金を被災者対応事業で積み増し
○失業給付を原発事故避難者にも拡大
○被災3県のハローワーク職員300人増員

【医療・就学】
○医療費の窓口負担無料化拡大―自宅が全半壊した被災者から失職した被災者にも
○就学援助・授業料減免―専修学校、各種学校に拡大

原発関連での主な国会論戦と成果

【独立規制機関】
○原子力安全・保安院を推進機関である経済産業省から独立させると国際原子力機関(IAEA)に報告

【損害賠償】
○仮払い金の支払い
○自主避難者も対象に

【土壌汚染】
○公立学校校庭の表土除去費をほぼ全額国庫補助。私立学校も対象に。除去土処分費が国庫補助対象へ

【浜岡原発停止】
○静岡県・浜岡原発の停止

【データ公表
○東電が事故初期のデータ公表
○福島第1原発の下請け企業の関連資料公表





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