2011年6月16日(木)「しんぶん赤旗」

世界経済フォーラム 東アジア会議

“ASEANの役割重要”

米中対立を懸念


 インドネシアの首都ジャカルタで12、13の両日、世界経済フォーラムの東アジア会議が開かれました。多くの参加者は、東アジアが世界経済のけん引役としての重みを増していることを認める一方で、米国と中国がしばしば対立することに懸念を表明しました。 (ハノイ=面川誠)


 昨年、米国の台湾向け武器輸出や南シナ海問題への関与表明で悪化した米中関係は、今年に入って好転する兆しを見せました。しかし米国は最近、南シナ海問題解決に協力すると再び言明し、中国から反発を受けています。

 シンガポールのリー・シェンロン首相は、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国にとって米中両国との関係が重要だと強調。「東アジアにはあらゆる可能性が存在するが、誤った方向に行く恐れもある」と述べ、「その一つが米中関係のリスクだ」と指摘しました。

 こうした懸念に対して、中国国際問題研究所の楊希雨研究員は、中国経済は対米輸出に依存している一方、米国は国債受け入れ先として中国に依存していると指摘。「相手を傷つければ、自分が痛みを感じる。こうした関係が米中対立を防ぐだろう」と楽観的な見通しを示しました。

 しかし会場からは、中国経済が内需拡大に成功し、米国が財政赤字縮小を進めれば、現在の相互依存は弱まるとして、「経済的な関係が平和を保証するわけではない」と批判する声が出ました。

 韓国の呉俊(オ・ジュン)駐シンガポール大使は、「アジアの国々はみな、冷戦の暗い記憶を抱えている。どちらかの味方をするように強いられることを嫌がる」と述べ、大国の争いに巻き込まれる歴史を繰り返すべきではないと強調しました。

 東南アジア各国は、大国の利害が衝突しやすい東アジアでASEANが役割を果たすべきだと訴えました。

 ASEAN議長国インドネシアのユドヨノ大統領は、「21世紀の国際秩序では地域機構が戦略的役割を持つ」として、ASEANなどの地域機構を軸とした「パートナーシップのネットワークが同盟よりも重要な役割を果たすだろう」と指摘。「同盟は敵に対抗するときだけ結ばれるが、パートナーシップはあらゆる共通利益のために結ばれる」と語りました。





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