2011年6月15日(水)「しんぶん赤旗」

賠償 現場は待てない

参院復興特別委 山下議員の質問


 「現場はもう待てない」。14日の参院復興特別委員会で東電福島第1原発事故の賠償問題を取り上げた日本共産党の山下芳生議員。漁業、農業被害に対する東電の迅速・全面的な賠償を国の責任で進めるよう求めました。


 「一日も漁に出られず、貯金を取り崩しながら生活している」「漁師、仲買人、製氷業者、燃油業者の4者が一体となってはじめて漁業ができる。だから賠償も一体でやってほしい」。山下氏は現場の不安の声を紹介しました。

 鹿野道彦農水相は、「一体的取り組みは不可欠。次の(原子力賠償)指針に盛り込まれるように強く働きかけたい」と答弁。清水正孝東電社長は「指針を踏まえ公正にやっていく」と述べました。

東電の姿勢批判

 福島、茨城、栃木、群馬、千葉5県の損害賠償請求額34億円(5月18日現在)に対し仮払いされたのは5億円にすぎません。山下氏はパネルで示しました。

 「東電が全面的で迅速な賠償に背を向けているのは、今回の事故は自らの責任で起こったものでないと考えているからではないか」と山下氏。東電が4月25日、原子力賠償紛争審査会に提出した社長名の要望書で、震災が「巨大な天災地変」にあたり、免責の可能性を示していることを追及しました。

 山下 政府は(東電の)免責を認めるのか。

 海江田万里原子力経済被害担当相 免責にあたらないと考える。

 山下 東電は要望書を撤回したのか。

 清水社長 免責にあたる解釈もありうると考える。

 山下氏は、東電の姿勢を批判し、「政府がたださないといけない」と強調。東電が紛争審査会の指針を口実に賠償・仮払いを渋っている問題について、ただしました。

 山下 審査会は紛争が生じた場合、和解の仲介をするところだ。指針に入っていようがいまいが、被害者が根拠を示して請求しているものは、すべて迅速に賠償・支払うべきだ。

 海江田 審査会は紛争が起こった時に間に入ってジャッジ(審判)する組織だ。

 山下氏の指摘を認めた海江田氏。しかし、「事故と相当因果関係がないといけない」などと東電を擁護しました。山下氏は「東電が迅速に誠実に対応すれば紛争にはならない。請求が妥当なら、どんどん賠償・仮払いすればいい」と強調しました。

国の立て替えも

 山下氏は、パネルに示された請求額は、各県の農・漁業団体が、被害者から、写真や伝票など証拠資料つきの書類を提出してもらってまとめた額だと述べ、迫りました。

 山下 被害者保護の立場に立つなら東電に全額を支払わせるべきではないか。

 首相 根拠があるものについて東電が責任をもつことは当然だ。(仮払いの残りは)指針に基づいて早急に対応されると聞いている。

 山下 因果関係は証明されているのだから、審査会の指針を待たなくても払わせることはできるはずだ。

 山下氏は、「第1義的な責任が東電にあることは当然だが、現場はもう待てないし、持たない」と強調。「2次補正予算で国による立て替え払いも含めて、大至急、現場の人たちに払われるようにすることを真剣に検討すべきだ」と提案しました。

 首相は、「この問題に必要な財源については、できるだけ早く2次補正を含めて対応したい」と答えました。

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