2011年6月11日(土)「しんぶん赤旗」

被ばく線量

「限度超」3人目か

福島第1の東電社員


 東京電力は10日、福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)で働いている同社の社員が新たに、今回の事故に限って設定された緊急時の被ばく線量限度の250ミリシーベルトを超える被ばくをしていた可能性があると発表しました。

 発表によると、新たに限度を超える被ばくをしていたとみられる社員は50代の男性で、3、4号機の運転員。事故が発生した3月11日から同14日まで中央制御室で機器の操作に従事し、同15日以降は主に同原発敷地内にある免震重要棟で作業をしていたといいます。

 日本原子力研究開発機構にある、内部被ばくを調べるホールボディーカウンターで精密に検査した結果、甲状腺から検出された放射性ヨウ素131の値が895ベクレルと通常より高めだったと、9日に報告を受けたといいます。外部被ばく線量は111・27ミリシーベルトで、東電は、内部被ばく線量を合わせると限度を超えている可能性があるとして、今後、放射線医学総合研究所(千葉市)で詳しく調べることにしています。

 また、これまで限度を超えているとみられていた同原発3、4号機運転員の30代と40代の男性社員の被ばく線量が10日、ほぼ確定しました。2人とも、1号機で水素爆発が起きた3月12日に甲状腺から検出されたヨウ素131すべてを取り込んだとみられ、30代の社員の内部被ばく線量は590ミリシーベルト、40代の社員は540ミリシーベルトとなりました。

 3月と4月の免震重要棟内での作業や移動時に受けた外部被ばく線量を加えると、それぞれ678・08ミリシーベルトと、643・07ミリシーベルトとなりました。3日に発表した推定値は、最大でそれぞれ654ミリシーベルトと、659ミリシーベルトでした。

解説

ずさん放射線管理

作業員の命と健康守れ

 東電の社員や作業員に対する被ばく管理のずさんさがまたも明らかになりました。今回、限度を超える被ばくをしていた可能性がある社員も、すでに限度を超えていたとみられる2人の社員と同じ3、4号機の運転員でした。

 東電は2人が限度を超える被ばくをしていた可能性があると発表した5月30日の時点で、同じ業務についていた人が約150人(その後130人に訂正)いると説明。残りの人たちの検査を進めていくとしていました。今回新たに限度を超える可能性がある社員がいると分かったのは10日以上たってからでした。

 東電は、検査が遅れている理由に、ホールボディーカウンターの数が限られていることをあげています。しかし、3人とも甲状腺からヨウ素131が高い値で検出されたことで限度を超える被ばくをしていることが判明しました。甲状腺の被ばく線量であれば、ホールボディーカウンターでなくてもサーベイメーターをのどに当てれば、わずかな時間で測れるといいます。

 ことは、高濃度の放射性物質があちこちに存在する現場で働く人たちの生命と健康をどう守るかという問題です。一刻も早く検査を進め、適切な対応をしていくことが求められています。(間宮利夫)





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