2011年6月11日(土)「しんぶん赤旗」

米経済 低迷続く

オバマ氏支持にも影


 【ワシントン=西村央】米国では、一時改善の兆しを見せていた失業率が2カ月続けて悪化、景気回復のカギとみられる住宅市場も低迷するなど、経済の停滞が続きます。7日発表されたワシントン・ポスト紙とABCニュースの世論調査でも57%が景気回復が始まったとはいえないと回答。オバマ大統領の支持にも影を落としています。


失業率9%に

 5月の失業率が9・1%に悪化したとの雇用統計が発表された3日、オバマ氏はオハイオ州の自動車工場で演説。「過去15カ月で200万以上の雇用を創出したが、われわれはいまだ厳しい時期にあり、いくつかの課題に直面している」と現状の厳しさに触れざるを得ませんでした。

 2008年からの金融・経済不況で失われた米の雇用は800万人。5月の雇用統計が示した就業者数は前月比で5万4000人増と、前月の23万増と比べて大幅に縮小し、本格的回復軌道に乗っていないことを示していました。

 コンサルタント会社グリーンクレスト・キャピタルのマックス・ウォルフ上級アナリストは、地方自治体が財政難から人員を削減していることにもふれ、今後の見通しを「来年11月の大統領選のころで、失業率は8%前後ではないか」と予測します。

 雇用統計発表に先立つ先月31日には、米格付け大手のスタンダード・アンド・プアーズが住宅価格指数を発表。3月の米主要20都市圏の住宅価格は、前年比で3・6%下落し、「全国的に見て住宅価格が二番底」(同指数算出委員会のデービッド・ブリッツァー委員長)との指摘もありました。

 住宅価格の低迷は、所有者の資産価値の低下に直結し、消費の低迷につながります。ローン負担に耐え切れずに差し押さえとなる物件の数も高止まり状態です。

政策に「不満」

 こうしたなか、オバマ氏の経済政策への不満はくすぶり、前出の世論調査でも59%が同政権の経済政策を「認めない」と回答しています。

 国民の不満を“追い風”に、共和党の大統領予備選に出馬表明した各候補者は「オバマは米国をダメにした」(ロムニー前マサチューセッツ州知事)などと批判を強めています。

 これに対し、ホワイトハウスのグールズビー経済諮問委員会委員長は「オバマ大統領にとって、成長戦略は第一義的課題だ」(5日、米テレビ)と強調しています。





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