2011年6月8日(水)「しんぶん赤旗」

主張

スポーツ基本法案

国民の権利と自主性を明記


 スポーツ基本法案が国会に提出され、審議中です。超党派の議員立法として提出され、日本共産党からは宮本岳志衆院議員が共同提案者となりました。

 現在のスポーツ振興法は制定されて50年になります。この半世紀で、国民のスポーツ参加と活動は多様にひろがり、プロスポーツの隆盛や国際交流が活発になるとともに、新たな課題も浮上しています。この節目に、スポーツ基本法は振興法を全面改正し、今日の状況にふさわしい国のスポーツ施策の充実をはかり、スポーツの発展を推進することを主目的にして立案されたものです。

日本共産党もかかわって

 原案の自公案は「メダル獲得を国策とする」との意図が強く、民主党の修正案は国の責任をあいまいにする「地域主権」などが色濃くあらわれていました。この2案をもとに超党派でつくるスポーツ議員連盟が成案への作業をすすめてきました。

 日本共産党は、議員連盟の作業チームに加わり、国民の利益に応える立場から法案の主要な論点をめぐって積極的な提案をおこない、条文への反映に努めました。

 提出された法案は、今後に残した問題点や探究すべき課題もありますが、成案化の過程で法の基本性格にかかわる点で重要な前進をみたことに、注目すべき特徴があると言えるでしょう。

 大きな前進のひとつが、国民のスポーツをする権利をうたったことです。前文と基本理念で、「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは、全ての人々の権利である」と明記しました。この考えは自民党政権時代では否定され、自公案にもそれが欠けていました。

 スポーツ活動の「自主性」「自律性」の原則も明示されました。これに関連して、条項の表記では当初、「スポーツ団体の責務」としていたのを、「行政と同列にした責務は団体の自治にかかわる」として、最終案では「スポーツ団体の努力」となりました。

 スポーツの国際交流(第19条)では「国際平和に寄与する」と同時に、新たに「環境の保全に留意する」ことが盛り込まれています。21世紀のスポーツのあるべき姿を示すものといえるでしょう。

 民主案にあった「サッカーくじ」の収益の条項は、導入当初から「スポーツのギャンブル化」に反対してきた日本共産党の主張や、識者から「スポーツ基本法の品格にかかわる」との指摘もあり、成案から削除されました。

 この間、日本共産党は衆院文部科学委員会で法案の内容に関連した問題をとりあげ、政府の姿勢をただしました。このなかで、「政治は不当にスポーツに介入してはならない」、「スポーツ予算の充実に努める」など、法案に盛られた内容を確認する高木義明文科相の答弁をひきだしました。

「基本計画」策定も急いで

 スポーツ基本法の制定とともに、これを指針にした国の「スポーツ基本計画」の策定が急がれます。政府がどれほどスポーツの奨励に真剣に取り組もうとしているのかが、そこで問われることになります。

 日本共産党は、法案が示した国民のスポーツをする権利の保障と競技者への支援を講じる「基本計画」の実現をめざして、力をつくしていきます。





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