2011年5月31日(火)「しんぶん赤旗」

二重ローン解消し新規融資を

高齢化の被災地 事業再開支援全力で

衆院震災復興特 佐々木議員が要求


 「被災地の中小零細業者が安心して事業再建ができるよう全面的に支援を」。日本共産党の佐々木憲昭議員は30日の衆院震災復興特別委員会でこう述べ、被災業者への新規融資と二重ローン問題の解決を求めました。


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(写真)枝野官房長官などに質問する佐々木憲昭議員(左)=30日、衆院震災復興特別委

 佐々木氏は、岩手、宮城、福島各県の沿岸部は農林漁業が中心で中小零細業者が多く、高齢者の比率が高い地域だと示しました。

 沿岸部の60歳以上の比率は岩手県で35・2%、宮城県で25・8%、福島県で28・3%。主要産業である漁業就業者ではより高く、岩手県51・3%、宮城県46・5%、福島県32・7%となっています。

 佐々木 高齢の方がもう一度、事業を復活させるのは並大抵でない。国がしっかり支援の手を差し伸べることが大事だ。

 枝野幸男官房長官 高齢者のみなさんが意欲をもって復興にとりくむ支援をしないと、個々人のくらしも、地域も復興・復活させることはできない。しっかり対応したい。

不当な扱い受け

 佐々木氏は、再建の意欲をもった業者が、金融機関から不当な扱いを受けている実態を告発しました。

 ▽宮城県多賀城市の飲食店経営者―政策金融公庫に200万円の融資を申し込んだら「前の借り入れ分と住宅ローンの返済をあわせたら返済できない」といわれた▽岩手県宮古市の業者―銀行から「仕事がないのだから新規融資は無理」といわれた。

 佐々木 既存の負債があるから新たな資金を融資しないというのでは再スタートがそもそも切れない。被災した中小業者に対して別枠で融資をきちんと行う立場で指導すべきだ。

 自見庄三郎金融相 金融機関には返済猶予など貸し付け条件の変更や、つなぎ融資の申し込みには出来る限り応じるよう、繰り返し要請している。

 佐々木 実際には現場には届いていないという声が多い。もう一度調査して是正すべきだ。

 佐々木議員は、二重ローン解消スキーム(枠組み)を提起した日本共産党の大門実紀史参院議員の質問(13日)に菅首相が「二重ローンにならないようにする。大変検討に値するスキームだ」と述べたことを紹介しました。

 佐々木 営業を再開するさいの最大のネックは二重ローンの問題だ。首相と同じ立場か。

 枝野 同じ考えだ。

 海江田万里経済産業相 関係省庁と連携をとり、(二重ローン対策を)実施する。

 被災中小企業や個人向け融資の総額は最大約2・8兆円(金融庁)にのぼります。佐々木氏は「棚上げが無理なら、せめて返済を20年間猶予すべきだ。公的機関が利子補給をするという枠組みも考えられる」と求めました。

 これに対し自見金融相は「利子だけで最大560億円だ」と答弁。佐々木氏は「約600億円(の利子補給)で、何十万人という被災者を救える」と求めました。

 利子補給の財源について佐々木氏は、毎年6800億円の預金保険料収入がある預金保険機構の活用などを提起しました。

財政措置を明言

 佐々木 公的資金の投入を受けて救われた銀行が恩返しするべきだ。

 枝野 気持ちは分からないでもない。(預金保険料の活用が)許されるかはかなり慎重な検討がいる。むしろ資金が必要ならば、財政資金も含めて検討すべきだ。

 佐々木氏は「被災地の信金、信組などを金融機関が(預金保険機構を通じて)全体として支援するスキームを考えられる」と指摘。二重ローン対策を2次補正予算に盛り込むよう求めました。

 野田佳彦財務相は「首相からの指示もあり、関係省庁と普通の金融レベルの対応だけではなく幅広い検討をしている。成案がまとまれば、すみやかに予算措置、税制措置を対応する」と明言しました。





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