2011年5月22日(日)「しんぶん赤旗」

主張

沖縄新基地計画

「基地なくせ」の願いに応えよ


 沖縄の米軍普天間基地を2014年までに名護市辺野古に「移設」させる計画について、北沢俊美防衛相が「物理的にどう見ても実現性がないものをいつまでも前提にしているというのは良くない」と言い始めました。米議会でも上院軍事委員会のレビン委員長らが「非現実的で実現不可能」とゲーツ国防長官に提言しています。

 これらの言動は、14年までの辺野古「移設」完了をうたった「日米合意」の破綻を認めたものです。いまやるべきことは「移設」完了目標の先送りや新たな「移設」先探しではなく、「基地なくせ」の願いに応えることです。

耐え難い基地の重圧

 「日米合意」を誠実に守るといい続けてきた菅直人政権の防衛相が、辺野古「移設」計画を「実現性がない」と認めるようになったのは、新基地計画に反対する沖縄県民の揺るぎのない総意とたたかいに押されてのことです。県民あげてのがんばりが、日米両政府を追い詰めているのは明らかです。

 普天間基地を「移設」し、辺野古に建設しようとした新基地は、2本の滑走路と大型軍艦も使える軍港まで完備した最新鋭基地です。墜落事故が多い、垂直離着陸可能のオスプレイも配備されます。宜野湾市民が爆音差し止め訴訟に訴えている爆音などの基地被害がそのまま名護市民に襲いかかります。海の自然も破壊されます。

 普天間基地は米軍でさえ「世界一危険」と認める基地です。住民の暮らしと安全を守るため、普天間基地をただちに閉鎖・撤去するのは当然です。しかし、その代わりに県内に「移設」させるのでは、いまでさえ異常に基地が集中した沖縄県民の負担を軽減することになりません。最新鋭の新基地建設となればなおさらです。平和な暮らしを願う県民の声に応えるには、新基地建設でも県内「移設」でもなく、普天間基地を無条件に撤去するしかありません。

 普天間基地の辺野古「移設」を決めた1996年の沖縄特別行動委員会(SACO)合意以来、県民が反対を貫き、新基地のための杭(くい)一本打たせなかったのは当然です。政府はこれ以上、県民を苦しめるべきではありません。

 辺野古「移設」の完了期限を延ばすとか、「移設」ができなければ普天間基地を存続させるなどと脅すのは、「日米合意」の破綻にたいする開き直りそのものです。普天間基地は沖縄占領時に米軍が住民から奪った土地につくったもので、無条件返還が当然です。返すべき土地の返還に条件をつけるなど、まさに本末転倒です。

 米議会の一部にでている、辺野古への「移設」の代わりに普天間基地を嘉手納基地に統合するなどの案も、沖縄県民の負担軽減とは程遠いものです。いまでも深刻な嘉手納基地の爆音被害をさらに激化させることは明白で、県民が受け入れるはずのないものです。

たらい回しで解決しない

 北沢防衛相は、今後のことは6月下旬に予定される日米安全保障協議委員会(外務軍事閣僚協議=「2プラス2」)の「協議の中で決まる」とのべています。米側のいいなりに「たらい回し」の方向を探すのでは問題は解決しません。

 いま必要なのは「日米合意」を白紙撤回することです。戦後66年間県民に押し付けてきた重圧を取り除くことこそ政府の責務です。





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