2011年5月19日(木)「しんぶん赤旗」

製造業供給網に打撃

電子部品など代替難しく

福島・避難区域


 東日本大震災による津波被害や福島第1原子力発電所事故により、東北地方の製造業は深刻な被害を受けました。福島県では避難指示が出された地域にある工場は操業できず、自動車や電機の供給網に影響を与えています。(中川亮)


 市町村の全部または一部が避難区域となっている双葉町、大熊町、富岡町、浪江町、川内村、樽葉町、南相馬市などには、製造業の事業所が775あり、県全体のおよそ1割を占めています。電子部品・デバイス・電子回路製造業が、市町村の全部または一部が避難区域に含まれている地域に41カ所あり、従業員数では1774人となっています。(表)

 自動車関係の部品を製造している事業所としては、電子装置・部品(南相馬市)、電動ステアリング部品(楢葉町)、配線部品・ワイヤーハーネス(浪江町)、駆動・伝導および操縦装置部品(飯舘村)、情報通信機器(川俣町)などとなっています(東北経済産業局「東北の自動車関連企業マップ」)。

 経済産業省の担当者は「避難指示が出されたところには、サプライチェーン(供給網)に影響を与える部品を製造している事業所が存在する」と話します。

 日本自動車部品工業会の担当者は「電子部品については代替困難なものが多い。1社に集中している部品もある」と指摘します。

 トヨタは、不足している品目が取引先の生産設備の復旧などにより約30品目まで絞られたとしました。約30品目には電子部品なども含まれており、担当者は「電子部品は使う量も多い。精密な部品は代替が難しいものもある」と語ります。

 自動車は約2万〜3万点の部品から構成されており、一つでも足りないと完成させることはできません。そのため一部の部品の生産が回復しなければ、他の部品の供給が増えても自動車本体の生産量を増やすことは困難となっています。

表




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