2011年5月19日(木)「しんぶん赤旗」

ドル一極支配終わりへ

新興国成長が経済に寄与

世銀報告書


 【ワシントン=西村央】世界銀行は17日、2025年までに新興国市場の成長が世界経済成長の過半数に寄与し、構造変化をもたらすという報告書を発表しました。国際金融システムでは、基軸通貨としてのドル一極体制が終わると予想し、今後は複数通貨体制となるとの見通しを示しました。

 「世界開発の展望2011 多極化・世界経済の新たな構造」と題した報告書では、中国、インド、インドネシア、韓国、ロシア、ブラジルの新興6カ国の11年から25年までの年平均経済成長を4・7%と予測。これに対して、日本、英国、米国などの主要国の年平均成長は2・3%にとどまるとみています。

 世界銀行のチーフエコノミストで開発経済担当上級副総裁のジャスティン・リン氏は、「新興経済の急速な台頭は、経済成長の中心となる極の変化をもたらし、その極は主要国と新興国との双方にまたがる。まさに多極化世界である」と分析。国際金融機関も、新興国市場の多国籍企業による南南投資や海外直接投資の急速な拡大に適応していく必要があると指摘しています。

 報告書は、成長の極となる新興経済の多様性として、中国や韓国では輸出に重点を置く一方、ブラジルやメキシコなどは国内消費に重きをおいているとそれぞれ特徴を明示。これら諸国では中間階層の増大などで消費拡大の傾向は強まると予測しています。

 さらに、米国発の金融危機は現在の国際金融システムの弱点をあらわにしたと指摘し、2025年までの国際通貨体制について、ドル、ユーロ、人民元の多極体制が有力であるとの見通しを示しました。ただ、人民元については、為替相場の柔軟化や金融市場に対する規制や監督の透明性を高めることが必要だとの認識を示しました。





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