2011年5月17日(火)「しんぶん赤旗」

占領から63年「大災厄」の日

イスラエル軍 抗議行動に発砲

境界のパレスチナ難民ら12人死亡


 【カイロ=伴安弘】パレスチナ・ヨルダン川西岸、ガザ地区と、レバノンのイスラエル国境付近、シリアのゴラン高原などで15日、イスラエルの占領に抗議する集会・デモが行われました。イスラエル軍が国境を越えたりした参加者らに砲撃・発砲し、シリアとレバノン国境では計12人が死亡しました。


 この日は1948年5月15日のイスラエル建国と同時に勃発した第1次中東戦争で多数のパレスチナ人が、現在のイスラエルにある生家を追われ難民となった日から63年。パレスチナ人はこの日を「ナクバ」(大災厄)の日としています。

 近年、「ナクバ」の日に大規模な抗議行動が実施され、死傷者が出た例はありません。英BBCは、今回の大規模抗議行動が中東・北アフリカの民主化運動に触発されたとの見方を示しました。

 ガザ地区では数千人が北部のイスラエル国境に向け行進。エレツ検問所付近で一部が緩衝地帯に入ったため、イスラエル軍戦車が砲撃・銃撃し、70人が負傷しました。

 西岸ではラマラ付近など数カ所で集会を開催。参加者は東エルサレムと接するカランディヤ検問所でイスラエル軍兵士に投石し、同軍が催涙ガス弾やゴム弾を発射。多数が負傷しました。

 一方、レバノンではイスラエル国境付近でパレスチナ難民が集会を催しました。一部がイスラエル国境から投石。国境を越えようとしたとしてイスラエル軍が発砲し、10人が死亡しました。

 67年の第3次中東戦争以来イスラエルに占領されているシリアのゴラン高原の村でも40〜50人が抗議行動を展開。同軍の発砲で2人が死亡しました。デモ参加者らはシリアと接する地域に設置されたフェンスを乗り越えて村に入ったとみられています。シリアには47万人のパレスチナ難民がいます。

 シリアとレバノン国境で死者がでたことについてイスラエル軍報道官は「イランの挑発がある」と発言。シリアについては政府高官が「シリアは警察国家だ。政府の許可なしに誰も勝手に国境には近づけない」としています。

 このほか、ヨルダンでもイスラエル国境付近で集会が行われ、数百人が参加。エジプトの首都カイロでもイスラエル大使館前で集会が行われました。

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