2011年5月16日(月)「しんぶん赤旗」

南米防衛理事会

“米国支配”見直し提起

平和地帯設立へ「リマ宣言」


 【メキシコ市=菅原啓】ペルーの首都リマで12、13の両日開催された南米諸国連合(UNASUR)の南米防衛理事会(CDS)国防相会議は、加盟12カ国の共通防衛戦略策定や南米「平和地帯」設立の作業促進を強調した「リマ宣言」などを採択して閉幕しました。アルゼンチンの国営TELAM通信によると、同国はUNASURとして、米州の防衛システム全体の見直しを目的とした特別会合の開催を米州機構(OAS)に働きかけることを提案し、承認されました。


 米国、カナダと中南米33カ国でつくるOASは「米国の戦略的利益が決定的な重要性をもつ」(同通信)地域機関。1951年の発足以来しばしば、米国による中南米への支配と干渉の道具として利用されてきました。中南米諸国の側から、OASのシステムの見直しが正面から提起されるのは史上初めてのことです。

 アルゼンチンのプリセリ国防相は、会議終了後のインタビューで、OASのシステムが米ソ冷戦時代に、米国やカナダなど「南米以外の国の利益に応じて策定されたもの」と指摘。UNASURとしての共通防衛戦略を完成させる一方、OASのシステムの「克服をめざす」立場を強調しました。

 このほか、採択された「リマ宣言」には、地域の軍縮促進のために各国共通の軍事費算定基準の作成、情報交換を通じた各国間の信頼醸成措置の強化などが盛り込まれています。

 UNASURは、米国主導のOASに依存しない地域独自の安全保障のしくみをめざし、2009年3月に発足。軍事分野での対米自立の動きとしても注目されてきました。


 UNASUR加盟国 アルゼンチン、ウルグアイ、エクアドル、ガイアナ、スリナム、コロンビア、チリ、パラグアイ、ブラジル、ベネズエラ、ペルー、ボリビアの12カ国。





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