2011年5月13日(金)「しんぶん赤旗」

原発撤退 21年までに

独「10年で完全停止可能」

政府諮問機関が報告案


 原発からの撤退を含め新たなエネルギー転換政策を検討しているドイツで、政府の諮問機関の一つ「倫理委員会」は11日までに、2021年までの脱原発を提言する報告書案をまとめました。シュレーダー前政権が決めた原発撤退計画と同じ期限となります。


 ドイツの各メディアが報じたものです。草案は、原発利用は可能かをまず検討。チェルノブイリ原発事故や福島原発事故を見ても「原発事故が起これば、その影響は、空間的、時間的、社会的に限定されない」と警告。そのような原発災害を回避するためには、「原子力をこれ以上利用してはいけないし、脱原発が必要だ」と結論付けています。

 次に国内17基ある原発からの段階的な撤退・移行期間として、「10年で完全稼働停止は可能」と強調。さらに条件がそろえば、移行期間は短縮できるとしています。

 現在停止中の1970年代につくられた比較的古い原発7基と、トラブル多発のため運転停止をしている1基の計8基の原発については、稼働を再開しなくても「電力供給に問題はない」として、このまま廃炉にすることも可能だとの見解を示しました。

 各原発の完全稼働停止時期については、稼働年数を基準とするのではなく、原発事故の危険度や、その地域での原発による電力供給の比率などによって決めるとしています。

 この草案に対し、ドイツ自然保護連盟(NABU)など環境保護団体は「福島事故後、原発完全停止を10年も待っていられない」と批判。政党では、左翼党が14年までの完全停止を求めているほか、90年連合・緑の党もより早期の完全停止を求める意向です。

 ドイツ政府は「倫理委員会」と「原子力安全委員会」にエネルギー政策転換について諮問していますが、両委員会は5月末までに報告書を提出。6月3日に16の州(特別市を含む)首相と会談後、同月6日に法案を閣議にかける予定です。

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