2011年5月11日(水)「しんぶん赤旗」

パレスチナ 公務員給与 払えない

イスラエルが税の代理徴収分渡さず


 【カイロ=伴安弘】パレスチナ自治政府のファイヤド首相は9日、ヨルダン川西岸のラマラで記者会見し、イスラエルが代理徴収しているパレスチナの関税その他の税収入を自治政府に引き渡すことを拒否したため、公務員に給与を支払うことができないと述べました。

 イスラエルが代理徴収している税額は毎月約1億ドル(約80億円)で、自治政府の毎月の歳入のほぼ半額に相当します。残る半分の収入は地方税と欧米諸国などからの援助。自治政府はこの約1億ドルを政府職員、教員だけでなく、町の清掃員までの幅広い公務員約16万人の給与に充てています。

 イスラエルがパレスチナ側に税収の引き渡しを拒否したのは、イスラム武装抵抗組織ハマスとアッバス議長率いる自治政府が3日に和解文書に調印したため。イスラエルはハマスをテロ組織と認定しており、自治政府に税収を引き渡せばそのハマスに資金が渡るとしています。

 ファイヤド首相は公務員給与の支払いは先週だったとし、「(政府の)財政状況は極めて困難な状況にある」と述べました。

 国連や米国、欧州連合(EU)はイスラエルに対し、徴収した金をパレスチナ側に引き渡すよう求めています。

 イスラエルは2006年のパレスチナ立法議会選挙でハマスが勝利した時も、税収の引き渡しを拒否しました。





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