2011年5月11日(水)「しんぶん赤旗」

社保庁職員の分限免職で口頭審理

解雇の客観的な基準なし

ただちに職場に戻して


 2009年末に解体・民営化された社会保険庁の職員525人が分限免職(解雇)された問題で10日、解雇は不当だとして不服審査請求をした職員の口頭審理が、人事院で行われました。東京での審理は9日から行われており、この日は処分者側である厚生労働省の証人と、請求者証人がそれぞれ発言しました。


 人事院での口頭審理は、民間の中央労働委員会にあたる役割をもち、分限処分などの不利益な処分について、客観的な基準を定めて、乱用を防止し、不当な処分の是正を目的に行われるものです。社保庁職員の不当解雇にかかる全厚生事案の口頭審理は2月から順次開催され、全国15事案のうちこれまでに6事案が開催されています。

評価バラバラ

 厚生労働省の職員選考会議のメンバーで、職員面談の面接官だった参事官が証言。社保庁職員を厚労省に任用、配置転換する際の基準について、面接要領でA〜Eの5段階で評価することを決めたと指摘。そのうえで、「任用してもいい」とされるC評価について、4段階の基準を独自に設けて評価したと語りました。

 しかし、他の面接官は同じC評価でも2〜3段階で評価を行ったと発言。これらは面接要領にないものだと語りました。

 面接官によって判断基準がバラバラで、勝手な方法だったことが明らかになり、傍聴席はおどろきに包まれました。

 また、経験ある職員の人事評価や健康調査を見ないまま、15〜20分の面接を行い、評価したと発言。分限免職された2人の職員の評価にあたって、「ものいいがはっきりしなかった」「テキパキと話し、自己主張が強いと感じた」などの理由で、免職に該当しかねない低い評価にしたと語るなど、客観的な基準による判断ではなかったことが浮き彫りになりました。

回避努力なく

 職員の分限免職回避にあたっては、まともな努力がなされなかったことも証言で示されました。

 処分歴のある職員が、社保庁から年金業務を継承した日本年金機構に採用されないという基準が08年7月に閣議決定されていたもとで、処分歴のある職員は、厚労省に転任する以外ありませんでした。しかし、厚労省側には、処分歴のある職員について厚労省での配置転換先を確保するなどの特別な発想も対策もなかったと話し、分限免職の回避努力という方針自体がなかったことが示されました。処分歴があっても、多くがいわれのないものです。

 請求者証人として、全厚生労働組合の役員が証言。年金記録問題が起きたとき、問題解決にむけて土日も出勤し、連日の時間外労働にもかかわらず、超過勤務手当も支払われなかったと語りました。

 日本年金機構の現状について、経験者の不当解雇や自主退職で混乱しているとのべ、分限免職を撤回し、職員を雇用するよう求めました。





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