2011年5月8日(日)「しんぶん赤旗」

ビンラディン容疑者殺害  法的手続き踏むべきだ

米は作戦詳細開示せよ

国連 特別報告官が声明


 国連人権理事会の「超法規的・即決・恣意(しい)的処刑」に関する特別報告官のクリストフ・ヘインズ氏らは6日の共同声明で、米軍による国際テロ組織アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン容疑者殺害に関し、「米国は(作戦が)国際人権法を順守したと判断できる証拠を開示すべきだ」と述べ、作戦の詳細を明らかにするよう求めました。


 声明は、テロ対策における人権問題に関するマーティン・シェイニン特別報告官との連名で出されたもの。

 このなかで両氏は、「テロ行為は人権、特に生存権と相反する」と指摘。そのうえで、対テロ作戦において、例外的なケースでは最後の手段として殺傷力の行使は是認されるとしつつも、本来の基準は「テロリストは犯罪者として取り扱い、逮捕、裁判、司法による処罰といった法的な手続きを踏むべきというものだ」と強調しました。

 今回、ビンラディン容疑者の隠れ家を急襲した米海軍特殊部隊に対し、容疑者側はほとんど発砲しておらず、特殊部隊が一方的に銃撃していたことが明らかになっています。この特殊部隊の任務が、同容疑者の殺害にあったとも報じられています。

 声明は、米国が開示すべき内容にかかわり、「ビンラディン容疑者の拘束を任務の中で計画していたのかどうかを知ることが特に重要だ」と指摘しています。

独世論調査「裁判必要」52%

 ドイツの民間世論調査機関N24・エムニトが6日公表した世論調査によると、米軍特殊部隊が国際テロ組織アルカイダの指導者ビンラディン容疑者を殺害したことについて、ドイツ人の52%が殺害ではなく生け捕りにして裁判にかけるべきだったと考えていることが分かりました。殺害が正当だったとした人は39%でした。

 ビンラディンの死で世界が安全になったと考える人は12%で、72%の人が報復の危険が大きくなったと答えています。また65%がアフガニスタン駐留ドイツ軍が反政府武装勢力タリバンによる報復攻撃の標的になる危険がより大きくなったと答え、危険は大きくはならないとする人は26%でした。





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