2011年5月3日(火)「しんぶん赤旗」

対テロ戦争10年 傷痕深く

ビンラディン容疑者殺害

アフガン戦 影響不透明


 【ワシントン=小林俊哉】オバマ米大統領は、10万人規模に膨らんでいる駐アフガニスタン米軍の“撤退過程”を今年7月に開始すると公約しています。ウサマ・ビンラディン容疑者の殺害はこの開始を目前にして行われたものの、同戦争の先行きに与える影響は不透明です。


 同容疑者の殺害が速報された2日未明、テロ現場の一つ、ニューヨークの世界貿易センタービル跡地には、市民が続々とかけつけて歓声を上げ、“戦勝ムード”すら漂わせていました。

 しかしアフガニスタンのアルカイダ勢力は「最大で50〜100人」(パネッタ中央情報局=CIA=長官)ときわめて小さく、アラビア半島やアフリカ大陸での系列組織の活動が活発になっているといわれます。

 4月に米国防総省が発表したアフガン報告では、戦況は一進一退です。米軍の活動がアフガン国民の支持を得ていないことをうかがわせます。米国内でもアフガン戦争への不支持が広がり、戦争目的自体への疑問も広がっています。

 アフガン戦争、イラク戦争と続いたイスラム圏での米国主導による二つの戦争は、イスラム世界での“反米感情”を広げ、米国の国際的影響力を損う結果も生みました。オバマ氏は1日の声明で、「米国はこれまでも今後も、決してイスラム教と戦争をしているわけでない」と改めて表明せざるをえませんでした。

 無差別テロは絶対に許されない一方、テロ根絶のために「報復戦争」に訴えることの失敗も、この10年で明らかになっています。


 ウサマ・ビンラディン容疑者 国際テロ組織アルカイダの指導者で、2001年に米国で起きた9・11同時多発テロの首謀者でした。

 1957年、サウジアラビア生まれ。79年にソ連(当時)がアフガニスタンに侵攻した後、同国で対ソ抵抗運動に参加しました。

 91年の湾岸戦争でサウジに駐留した米国に反発。93年に起きたニューヨークの世界貿易センタービル爆破などのテロに関与したとされています。

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