2011年4月27日(水)「しんぶん赤旗」

原発事故―「人災」と認め、全面賠償・仮払いを

東電・国への請求行動 志位委員長のあいさつ


 26日、東京都内で開かれた東京電力と国に対する「東電は全面的に償え」抗議・賠償請求行動で、日本共産党の志位和夫委員長がおこなった激励あいさつは以下の通りです。


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(写真)あいさつする志位和夫委員長=26日、参院議員会館

原発事故を起こした東電と国に強く抗議する

 日本共産党を代表して心からの連帯と激励のごあいさつを申し上げます。

 全国の農民連のみなさん、被災地の農民連のみなさんが、自らも被災されながら、被災者のみなさんに支援物資を届け、お米を届け、野菜を届け、救援の先頭に立ってこられたことに、心からの敬意を申し上げます。(拍手)

 巨大地震、大津波にくわえ、原発事故の被害が、きわめて深刻です。私も福島県の飯舘村と南相馬市にうかがい、故郷を奪われていることの無念さをひしひしと感じました。農業被害の実態についても、本当に痛切な訴えが寄せられました。ホウレンソウの出荷停止になった農家からは「種代や肥料代などで毎月20万円もの請求がくる。しかし無収入で払えない」という強い訴えがありました。原乳の出荷停止になった農家からは「毎日えさをやり続け、牛の世話をし、搾乳して、その搾った乳を畑に捨てなければならない」という無念の思いが寄せられています。

 まず、この深刻な大事故を起こしたことに対する強い抗議の声を、みなさんとともに東電および政府に対して突きつけたいと思います。(大きな拍手)

原発事故は「人災」だと認めさせるたたかいを

 今後の問題ですが、まずは国内外のあらゆる知恵と力―専門家、研究者、技術者すべての力を結集して福島原発の危機を収束させて、これ以上放射能による被害の拡大を許さないことにすべての力を傾注するべきだということを、私たちは政府に強く求めています。

 それを大前提にして、みなさんとともに、次の三つの点を緊急に求めていきたいと考えております。

 第一は、福島原発事故が「人災」だということ、そして事故の原因が東電、東電をきちんと監督・指導してこなかった政府にある、このことをはっきり認めさせることです。(「そうだ」の声、拍手)

 東電はいまだに「人災」だということを認めません。いまだに「想定外」ということを平気でいっている。政府は「これまでの対策が甘かった」ということまではいいますが、はっきり「人災」だとはいいません。「人災」だということを認めさせるたたかいが大事です。(大きな拍手)

 福島県の市民団体と党県委員会、日本共産党の国会議員団が、くりかえし警告してきた。大地震と大津波が同時に来たら鉄塔が倒れて外部電源がなくなる、水をかぶって内部電源もなくなる、全電源喪失という事態になって炉心が溶けて大事故になると、2005年以来ずっと言い続けてきました。その警告を無視してきた。ですからこの事故は「自然災害」でも「想定外」でもない。ひとえに東電と国に責任がある「人災」であります。これをはっきり認めさせてこそ、賠償も誠実で全面的なものにさせることができます。

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(写真)東電に損害賠償を要求する決起集会であいさつする志位和夫委員長=26日、参院議員会館

「線引き」を許さず原発事故によるあらゆる被害・損害に全面賠償を

 第二は、原発事故によって発生した甚大な被害の問題についてであります。農産物、水産物、工業、商業、観光業、そして、住民の方々に甚大な被害を及ぼしているわけですが、あらゆる被害と損害について全面賠償をおこなうことを明確に約束させるよう、ともに求めていきたいと思います。

 全面賠償とは一体何なのか。このことをはっきりさせる必要があると思います。これは勝手に「線引き」をさせないということです。つまり、原発からの距離が何キロだとか、放射能の値が何シーベルトとかベクレル以下だとかいって、勝手な「線引き」をして、被害者を切り捨てるということを絶対にさせないということです。

 原発事故が起こらなかったとしたら起こりえなかった被害・損害があります。原発事故がなかったら、これだけの収入があったはずだ、これだけのまっとうな生活ができていたはずだ、それといまの状態との差額、これはすべて賠償させる。これが全面賠償ということであります。これをみなさんといっしょに強く求めていきたいと思います。(大きな拍手)

 これまでも薬害肝炎の問題など、国や企業がかかわった損害賠償がありますが、相手はどこかで「線引き」しようとしてきました。それを許してはなりません。出荷制限や風評被害もふくめて全面賠償を勝ち取るまで、ともにたたかいぬく決意です。

現に生じている被害・損害にただちに仮払いを

 それから第三は、現にいま生じている被害・損害の問題についてです。私はこの間、全漁連、JA全中のみなさんと懇談する機会がありましたが、とにかく当座の生活がたちゆかないという実態が訴えられました。ただちに仮払いをおこなえということを一緒に強く求めていきたいと思います。

 国の指示によって、福島第1原発から半径30キロ圏内にお住まいの方について、1世帯あたり100万円、単身世帯は75万円の「仮払い金」をともかく支払うことになりました。しかし、ここでもまた「線引き」がされていて、30キロ圏外の県民には払われていません。

 さらに、農業、漁業、商工業、観光業などについては、風評被害も含めて甚大な被害を被り、いまの生活がたちゆかない、いまの営業がたちゆかないにもかかわらず、「仮払い」がやられていない。「仮払い」がやられなければ、被害はどんどん深刻になります。

 東電は国の審査会(原子力損害賠償紛争審査会)の「指針」を待って「仮払い」をするといいますが、この審査会の責任者は日本経済新聞のインタビューで、「指針」をまとめるのはだいたい7月だと答えています(「えーっ」の声、どよめき)。7月まで待てるわけないですよね。どうやって暮らせというのか。農業者、漁業者のみなさんを破産させ、路頭に迷わせる。こんな姿勢は許せない。ただちに「仮払い」をやれと強く求めていきたいと思います。

 「人災」と認めさせること、文字通りの全面賠償を勝ち取ること、それから「仮払い」をただちにやらせること。この三つは最小限の緊急の要求になります。みなさんとともに、これを実現するまでがんばりぬきたいと思います。(拍手)

 今回の災害は、原発の問題とともに、津波、地震による農業被害はきわめて甚大で、東北の農業をどう立て直すかについては、これまでの法律の枠組みではとうていかないませんから、それにとらわれずに特別の枠組みをつくることが必要です。私たちは、それを政府に具体的に提起していくつもりです。

エネルギー政策を切り替えて原発から段階的に撤退を

 それから、これまでのような原発推進の政策でいいのか。エネルギーも原発頼みでいいのか。根本的な転換が必要です。

 この前、私と菅首相の党首会談で、首相はこれまでの原発大増設計画について、「白紙を含めて見直す」と言いました。しかし、これを「撤回する」とは言っていません。この無謀な計画は撤回させ、原発に頼らないエネルギー政策に切り替えていきたい。原発から段階的に撤退してゼロにする工程表を、党として示していきたいと思っています。(拍手)

 最後までともにがんばる決意を申し上げまして、私のごあいさつといたします。ともにがんばりましょう。(大きな拍手)





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