2011年4月21日(木)「しんぶん赤旗」

主張

二次被害続出

避難生活の改善 大至急実現を


 東日本大震災の発生から40日余り、避難所などでの避難生活が長期にわたるなかで、体調を壊したり、最悪の場合亡くなったりする、二次被害が深刻になっています。相次ぐ余震で亡くなったり、ケガをしたりする被害もあります。地震や津波から助かった命が、避難生活の中で失われるのは、まさに“人災”そのものです。避難所などでの生活を大至急改善するとともに、仮設住宅などの完成を急ぎ、それまでの間滞在できる旅館やホテル、公共宿泊施設などの活用が求められます。

まさに“人災”そのもの

 地震や津波のあと、避難所などで持病が悪化したり、心と体のバランスを壊したりして亡くなるのを「震災関連死」と呼んでいます。東日本大震災の集計はまだないものの、その疑いがあるとみられる例がすでに数百人規模にのぼっているとの指摘が医療関係者などから相次いでいます。阪神・淡路大震災の場合は「震災関連死」の犠牲者が900人以上にもなりました。それ以上のペースで広がっているとの指摘もあります。

 その最大の要因は、避難者が震災の発生から1カ月以上たっても十数万人とかつてない規模にのぼっているうえ、きびしい寒さなど自然条件も過酷で、それに対する暖房用の灯油や食料、衣服など、生活の保障と改善が、絶対的に立ち遅れているからです。

 政府もようやく避難所の実態把握を始めましたが、4月初めの調査で岩手、宮城、福島3県に自治体などが設置した1047カ所の避難所のうち状況がつかめたのは3割程度です。そのなかでも水道やガスが復旧しているところは7割、毎日おかずや温かいものが食べられるところは6割などにとどまっています。替えの下着がない、間仕切りがまったくない、大震災以来入浴できていないなど、人間らしい生活とは程遠い状態です。

 地震や津波で命からがら避難した人たちに、食事や衣服を提供し、お風呂や安心して眠れる場所を保障するのは、国と自治体の第一の責任です。発生から1カ月以上もたって被災者の人間らしい生活が保障されていないのに、被災地が広いから、避難者が多いからでは弁解になりません。市町村などの避難所にいる人だけでなく、近所の避難場所や壊れた自宅などに身を寄せている人たちを含め、被災者が温かい食事が取れ、安心して眠れるよう、政府の責任で抜本的な改善策が求められます。

 これまでの震災などでも、被災者が学校の体育館などで集団生活を送るのは、2カ月が限度といわれてきました。まもなくその2カ月を迎えます。被災者が家族単位で暮らせ生活の再建に取り組むには、仮設住宅や公共住宅などでさしあたりの住まいを確保することが重要です。そうした対策が決定的に遅れているのは重大です。仮設住宅の建設場所や資材の確保、間に合わない場合は旅館などへの一時的な避難など、政府が責任をもって対策を講じるべきです。

「震災関連死」認定急げ

 地震や津波に起因した「震災関連死」と認定されれば、災害弔慰金などが支払われる制度もあります。「震災関連死」か、どうかの認定作業も急ぐべきです。

 震災で打ちのめされ、生活の基盤を失わされた被災者に、万全の対策を政府は急ぐべきです。





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