2011年4月18日(月)「しんぶん赤旗」

大震災・原発 政治は

NHK日曜討論 市田書記局長の発言


 日本共産党の市田忠義書記局長は17日のNHK「日曜討論」に出席し、被災者救援、復興財源、原発事故などについて与野党幹事長と議論しました。


震災発生から1カ月

救援・危機回避には協力、復興財源など率直に意見

 震災発生から1カ月余り。冒頭、自民党などから「阪神・淡路大震災と比べても政府の対応が遅い」との意見が相次ぐ中、民主党の岡田克也幹事長は「問題の指摘は真しに受け止め全力をあげたい」「だが、これだけの大災害だ。政府も全力をあげている。ご理解いただきたい」などと述べました。この中で市田氏は、次のように表明しました。

 市田 被災者の実態はまだ極めて深刻です。プライバシー確保の問題もあるし、食料も手洗いの水もまだ十分にはいきわたっていない。衛生面・医療面も大変深刻ですから、引き続き被災者救援に総力をあげる必要があります。わが党としては、被災者の救援や原発危機の回避については与野党超えて、政府にも協力をしていきたい。ただ、今後の復興の進め方、財源、原子力のあり方、エネルギー政策などそういう点では各党意見が違うので、言うべきところは率直に意見を言う態度で臨んでいきたいと思います。

復興財源

不要不急のムダを削る、法人税減税の見直しなども

 政府が準備中の、仮設住宅の建設予算などを含む第1次補正予算案(4兆円規模)がテーマになり、岡田氏は「今月中に国会に出してすぐに審議してもらう」と表明。政府は財源として年金国庫負担の引き上げ分(2・5兆円)などをあてる検討をしています。

 市田氏は財源について、「年金の土台を崩すようなやり方はよくない」と政府の対応を批判した上で次のように述べました。

 市田 不要不急のムダを削る。例えば阪神、京浜などの大型港湾のために向こう10年間で5500億円使うことが、この間の港湾法の改定でやられている。そこを削る。

 それから経団連の米倉弘昌会長まで“こういう時期だから法人税の減税については少し考えてもいい”と言っているわけです。党首会談でわれわれが申し入れたとき、首相自身も法人税減税についてはこのさい見直す、証券優遇税制も見直しの土俵にのせると言っていました。だから、2兆円もかかる法人税減税と証券優遇税制はカットすべきです。

 それから、こんなときに在日米軍への「思いやり予算」か。被災地を思いやるべきじゃないか。政党助成金もこのさい返上して復興にあてる。こういう形で財源を考えるべきだと思います。

 これに対し、国民新党の下地幹郎幹事長は「市田さんがおっしゃったように、法人税(減税)も経団連そのものが(もう)いいと言っています。(証券優遇税制の見直しと合わせて)2兆円が出てくる」と発言。岡田氏も「法人税減税などの税制改革もまだ法案が通っていないから議論する」と述べ、年金の国庫負担引き上げ財源を復興に回すことも「必ずしも健全な姿だとは思っていない」と認めました。

 一方、自民党や公明党は子ども手当の削減を主張。岡田氏は、「公務員人件費の削減も含め、2次補正に向けて議論していかなければならない」などと応じました。

「震災復興国債」を発行し大企業の内部留保を活用

 ばく大な復興財源をどう賄うのか。社民党、みんなの党は特別会計の積み立て金の繰り入れを主張しました。岡田氏は、「2次補正以降では国債の発行が必要だ。そのときには、財源をどういう税で賄うか方向性を示さなければいけない」「消費税上乗せや所得税などいろんな議論がある」と庶民増税を示唆しました。

 これに対して石原氏は「消費税を復興国債の償還財源にあてるのは反対だ」と述べたものの、「消費税は社会保障に充当する目的税にすべきだ」と結局、増税を目指す立場を表明しました。「たちあがれ日本」の園田博之幹事長は「いまこそ消費税を議論し、10年後には10%負担をさらにお願いするプログラム法を国会で通すべきだ」などと庶民増税をあおりました。

 これに対し、市田氏は次のように提案しました。

 市田 復興財源には、民間にある資金を呼び込む方法を考えるべきです。大企業の内部留保が244兆円もあるわけですから、いまの国債とは別枠で、金融市場を通さない特別の「震災復興国債」を発行して、国民にもよびかけるけれども、大部分を大企業に引き受けてもらうやり方で財源を見いだすべきだと思います。償還については、応能負担の原則の税制に変えていく、ムダを省くなどの方向があると思います。

 まず復興の中身が決まってからの議論になってくると思います。

原発事故への政府対応

問題の根源に「安全神話」、避難の場合は正確な情報を

 福島第1原発の事故をめぐる議論では、岡田氏が「放射性物質の排出量ではチェルノブイリ事故の10分の1。同じレベル7でもかなり違う」などと説明。政府の対応が問題になり、市田氏は次のように述べました。

 市田 避難地域の設定での場当たり的な対応とか、初動の遅れなどいろいろな問題があったと思いますが、その根源には、日本の原発では大事故は起こらないという「安全神話」があると思います。チリ地震並みの津波がきたら、福島原発はひとたまりもないと何度もわれわれも追及してきたのに、政府は「大丈夫だ」といい「安全神話」にのっかってきた。だから、歴代自民党・公明党政権も事故が起こったときの対応案をもっていなかった。それを民主党政権でも引き継いでいるわけです。

 避難地域の問題では、「計画的避難区域」について、官房長官が、まだ決まってもいないのに決まったかのような発言をして混乱をまねきました。こういう問題はよく住民感情も考えて、正確な情報を提供すべきです。そして、避難する場合には避難先や生活をどう保障するのか、いつごろ帰れるのか、情報を的確に提供して安心感をもってもらうことが必要です。不都合な情報でもきちんと提起することがなによりも大事だと思います。

 さらに農産物の風評被害をどう補償するのかが議論になり、市田氏は「原発に起因する風評被害については東電と国が責任をもつべきです。いまの時点で、そのメッセージを発することが、安心を与える上でも大事です。風評被害を起こさないためにも正確な情報を政府が責任をもって説明することが大事です」と述べました。





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