2011年4月15日(金)「しんぶん赤旗」

沖縄・普天間基地 “居座り”図る 米軍の無理

県内「移設」食い止められ

「震災支援」を口実に


 日米両政府が沖縄の米海兵隊普天間基地(宜野湾市)の返還を合意して、12日で15年を迎えました。しかし、米軍は返還の条件である県内「移設」が県民のたたかいによって食い止められていることや「震災支援」を口実に、普天間基地の継続使用を公言しています。

公聴会で司令官「継続使用」明言

 「(普天間移設が)進展していないのは残念だが、米軍の能力を損なうことはない。当面は、現存する普天間基地の運用を続ける」

 米太平洋軍のウィラード司令官は12日、米上院軍事委員会の公聴会で「継続使用」を明言しました。

 “新基地を用意しない限りは居座る”という占領者意識むきだしの証言は、普天間基地の名護市辺野古への「移設」反対が総意になっている沖縄県民に真っ向から敵対するものです。

 加えて、東日本大震災での支援を口実にした“普天間継続使用論”まで出ています。

 「(普天間基地に駐留する)米海兵隊航空部隊が日本本土から近いことから、海兵隊は迅速に緊急支援物資を運ぶことができた」(3月18日付の在沖縄米海兵隊司令部プレスリリース)

 海兵隊は、沖縄駐留の“地理的優位性”を繰り返し強調します。

 しかし、海兵隊ヘリ部隊の拠点となった強襲揚陸艦エセックスは東南アジアから青森・八戸沖に向かっており、沖縄の“地理的優位性”は説得力に欠けています。

 沖縄の海兵隊だけではありません。支援活動の前進拠点になったのは米本土から派遣され、仙台沖に展開していた原子力空母ロナルド・レーガンでした。一方、横須賀を母港とする原子力空母ジョージ・ワシントンは福島第1原発の事故による放射能の影響を恐れ、九州近海に避難しています。日本への米軍駐留の優位性が発揮されたとはいいがたいのが実情です。

 さらに、前出のプレスリリースはこう述べています。「多くの航空機は物資や機材などを積載して重たくなっており、普天間基地の9000フィート(約2800メートル)の滑走路は、これらの安全な離陸を可能にしている」

 米軍内にはもともと、辺野古の新基地は滑走路が1400メートルと短くなり、戦闘機や大型輸送機の運用が制約されるとして不満がありました。震災支援を“奇貨”として、巻き返しを図っている節がうかがえます。

安里宜野湾市長「必要論」を批判

 宜野湾市の安里猛市長は12日の記者会見で、「震災があったから米軍が必要という議論は全く質が違う話だ」と批判しました。さらに、ウィラード司令官の普天間継続使用発言についても、「普天間基地は米国の安全基準を満たしていない欠陥飛行場。継続使用は許されない」と主張しました。(竹下岳)





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