2011年4月14日(木)「しんぶん赤旗」

再生エネルギー 各国にはずみ

ドイツ 原発の完全撤退めざす

風力・太陽光などで発電


 地球温暖化防止のための対策として以前から注目されてきた再生可能エネルギー。世界に衝撃を与えた福島第1原子力発電所の事故は、温暖化防止対策の一つの柱と見る向きもあった原発推進の見直しを迫るとともに、再生可能エネルギー開発に新たなはずみをつけています。


地熱、バイオマスも柱に

 ドイツのメルケル政権が、原子力発電からの撤退に伴い生じる発電量不足などを補う「エネルギー転換」政策の基本点が12日までに明らかになりました。

 フランクフルター・アルゲマイネ紙などが報じたところによると、発電不足を補う柱は風力、太陽光・太陽熱、地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギーによる発電で、特に風力に力点が置かれています。

 風力発電では今後、洋上建設が有望だとして、ウインドファーム(多数の風力発電施設を一定の地域、海域に集中させたもの)の洋上への整備を進めます。また、地上にある風力発電では、風力を多く集められるより高い風力発電風車に切り替えます。風力発電には50億ユーロを支出します。

 ほかには、(1)住宅やオフィスビルなどの建物にエネルギー効率を高める設備をつける(2)全国にエネルギー効率の高い電力網を整備する(3)蓄電池技術の改善(4)ドイツ復興銀行による風力発電投資や建物のエネルギー効率を高める設備などへの融資―など。ガス火力発電も増設します。

 原発からの撤退については、「2020年に完全撤退をめざす」とする一方で、(1)電力供給の保障(2)電力消費者が支払い可能な電気料金(3)気候変動対策での温室効果ガス削減の目標―を勘案し、完全撤退の時期は23年までずれる可能性もあるとしています。

 政府は、この政策案をもって、15日に各州首相と協議するのを皮切りに、連邦議会に議席を持つ各党や、環境団体、労組といった社会団体とも協議し、国民的合意を目指します。福島原発の事故を受け、実施している原発総点検が終了するまでに、エネルギー転換政策として正式提案する予定です。(片岡正明)





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