2011年4月11日(月)「しんぶん赤旗」
エジプト軍 デモに武力行使示唆
青年ら抗議テント設置
【カイロ=伴安弘】エジプトの最高権力機関、軍最高評議会は9日、首都中心部のタハリール広場での抗議デモを終わらせるために武力を使うとの姿勢を示しました。2人が死亡した同日早朝の衝突を受けてのものです。一方、「革命」の推進を求めて8日に数十万人の参加者を集めた青年組織などは9日、広場に改めて抗議のテントを設置。軍と「革命」勢力の“蜜月”が終わり、政情が流動的になっていることを示しています。
8日のデモは、2月18日に行われたムバラク退陣を祝うデモ以来最大の規模となりました。参加者らは、シナイ半島の保養地シャルムエルシェイクに「国内亡命」しているムバラク氏や前政権幹部の裁判などを求めました。
このうち数百人が同日夜も広場にとどまったため、軍は9日午前3時ごろ、外出禁止令に反するとしてこん棒などを使って実力行使に出て、デモ側と衝突。デモ側の2人が死亡したほか、数十人が負傷しました。
この衝突後、デモ参加者らは広場でのキャンプを決定。軍トップのタンタウィ国防相の辞任を要求しました。
これに対し軍評議会のアデル・エマラー准将は9日の記者会見で、「日常生活を正常に戻すため、力を使ってでも広場から抗議者を排除する」と述べました。軍は、ムバラク前政権残党を指して、「反革命を支持する」分子が混乱を引き起こしたとしています。死傷者は実弾を受けていますが、軍は実弾使用を否定しています。
青年組織「青年革命連合」は9日、「われわれは、革命の要求をなかなか実行しない軍評議会を非難し、ムバラクと彼の支持者らが裁判にかけられるまでタハリール広場にとどまるよう国民に呼び掛ける」とする声明を発表しました。
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