2011年4月6日(水)「しんぶん赤旗」

福島第1原発

濃度限度の1億3500万倍

海へ流出の放射性ヨウ素


 東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)2号機の取水口付近にあるコンクリート製の穴(ピット)の周辺から海へ流出している水に含まれる放射性ヨウ素(ヨウ素131)の濃度が、国が海水などで定めている濃度限度の1億3000万倍以上だったことがわかりました。東電が5日、発表しました。専門家は、非常に深刻な汚染で、止めるための対策を早急に進めることを求めています。

 東電によると、2日午後4時半に採取した流出水から水1立方センチ当たり540万ベクレルのヨウ素131を検出。これは濃度限度の1億3500万倍に相当します。

 セシウム134とセシウム137は、濃度限度の3000万倍と2000万倍でした。

 ピット内で2日正午前に採取した水からも、濃度限度の1億3000万倍のヨウ素131を検出しました。

 流出水がまざった海水からは濃度限度の750万倍に相当する水1立方センチ当たり30万ベクレルのヨウ素131を検出しました。

 1、3、4号機の取水口付近で2日午後に採取した海水からも、濃度限度の35万〜48万倍のヨウ素131を検出。汚染は2日以降も続いており、4日午前9時時点で、2号機ピットの前の海水から濃度限度の500万倍のヨウ素131を検出しました。

 流出水は、損傷した核燃料から溶け出した放射性物質を含む原子炉水とみられ、通常運転中の原子炉水の数万〜10万倍の放射能で汚染されています。

深刻な汚染 早急な対策を

 野口邦和・日本大学専任講師(放射線防護学)の話 これほど高濃度のヨウ素131が検出されたというのは驚きだ。半減期が短く希釈・拡散するとは言っても、非常に高レベルなので心配だ。

 一方、タービン建屋地下の水や海水からは、ヨウ素などと違って気体になりにくいバリウム140が検出されている(東電がデータを再確認中)。このことは核燃料がバラバラになっており、そこを通過した水が直接流れ出ていることを示しており、ストロンチウム90が出ている可能性も高いことを示している。ストロンチウム90は、骨に濃縮して長期間ベータ線を出し続けるので、骨がんを誘発する恐れがある。比較的短期で体外に出て行くセシウムよりもはるかに危険だ。また、コウナゴのような小魚などの骨に取り込まれれば、人が丸ごと食べてしまうことも心配される。

 早く漏えい箇所をつきとめて、非常に深刻な汚染を引き起こしているこの状況を止めることが必要だ。





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