2011年4月4日(月)「しんぶん赤旗」

ブラジル ルセフ政権3カ月

“対米自立”鮮やか

南米結束強化も堅持


 1日で発足から3カ月となったブラジルのルセフ政権が外交で独自性を発揮しています。人権問題でイランを批判するなどルラ前政権時からの変化を見せる一方で、対米自立と南米諸国の協力強化という方針に変わりはありません。(島田峰隆)


 国連人権理事会は3月24日、イランの人権状況を非難する決議案を採択しました。決議案は米国が提出。ルラ政権時代のブラジルは、対イラン非難決議には毎回棄権してきましたが、今回は賛成に回りました。

 内外のメディアは、この動きを、ルラ政権のもとで緊張した対米関係の再強化をにらんだ「重大な転換」「ルラとの決別」などと伝えました。

自主的な外交

 しかしブラジルのルベンス・バルボア元駐米大使は、ロイター通信に対し、「“ブラジルは米国の気を引くことを意図して賛成した”という人もいるが、それは違う」と指摘。軍政時代に投獄、拷問された経験を持つルセフ氏の「人権に対する個人的な信念の結果」だと分析しています。

 また米国の中南米専門家も同通信に対し、「ブラジルが自主的な外交政策を突然放棄することはないだろう」と語りました。

 実際、ルセフ政権の対米自立姿勢は鮮明です。それは3月19〜21日にかけてのオバマ米大統領のブラジル訪問でも浮き彫りになりました。

 19日に行われたルセフ氏との会談。オバマ氏は、米英仏の連合軍が同日始めた対リビア軍事行動へ理解を求めました。

 しかしルセフ氏は、会談後の共同記者会見で「平和、民主主義、合意の形成」がブラジルの「責務」だと強調。「これらは一時的でない、恒久的な価値観だ」と切り返しました。

「対話で解決」

 21日にはオバマ氏の出国から数時間後に、外務省がリビアでの早期停戦と対話による解決を求める声明を発表しました。

 ルセフ氏は、オバマ氏に対し、南米12カ国でつくる南米諸国連合(UNASUR)を通じて周辺国と結束を強めていると説明。「この環境の中でブラジルと米国の関係を発展させる」と語り、周辺国との協力を重視する立場を示しました。





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