2011年4月3日(日)「しんぶん赤旗」

原発事故 元原子力安全委員長ら緊急提言

事態回避へ専門的英知を


 東京電力福島第1原発事故について、国の原子力安全委員長などを務めてきた原子力の専門家が1日、「我が国がもつ専門的英知と経験を組織的、機動的に活用しつつ、総合的かつ戦略的に取り組むことが必須である」として、国を挙げた強力な体制を構築することを政府に求める緊急提言を発表しました。

 提言は、現在、燃料の多くが破損あるいは溶融し、圧力容器や格納容器内に拡散・分布した膨大な放射性物質が環境に放出され続けている状況だと分析。このままでは、溶融炉心が圧力容器や格納容器を破壊することや、圧力容器内で生成した大量の水素の爆発が懸念されるとしています。

 深刻な事態を回避するためには、原子炉および使用済み燃料プール内の燃料の冷却状況を安定させることが唯一の方法だと強調。さらに、当面の危機を乗り越えた後も、継続的な放射能の漏えいを防ぐための密閉管理が必要になると指摘しています。

 そのうえで、原子力安全委員会や原子力安全・保安院、関係省庁に加えて、日本原子力研究開発機構、放射線医学総合研究所、産業界、大学などを結集して取り組むことが必須だとしています。

 提言を発表したのは、松浦祥次郎・元原子力安全委員長、田中俊一・元原子力委員会委員長代理(元日本原子力学会会長)、石野栞(しおり)・東京大学名誉教授ら16人です。提言の冒頭で、「原子力の平和利用を先頭だって進めて来たものとして、今回の事故を極めて遺憾に思うと同時に国民に深く陳謝いたします」と述べています。





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