2011年4月3日(日)「しんぶん赤旗」

主張

「計画停電」

大口需要者への総量規制を


 電力の需要が最も大きくなる夏場を前に、首都圏を中心に4400万人に電力を供給している東京電力の「計画停電」の見直しを求める声が高まっています。

 「計画停電」は東電の福島原発の事故や一部の火力発電の停止に対して、東電が始めた電力供給の強制カットです。

 「計画停電」といっても対象地域を定めて輪番で機械的に停電させるやり方で、生命にも暮らしにも営業にも配慮がありません。

医療現場に深刻な影響

 停電中は心電図や胃カメラなど検査機器が使えず、診療制限を余儀なくされている診療所など、命を支える医療や介護の現場に大きな問題が発生しています。在宅療養の患者も、人工呼吸器やたんの吸引器などの「命綱」が電源を失う危険にさらされています。

 東京中小企業家同友会の調査によると、震災で直接被害を受けた企業も少なくない上、6割の企業が間接的な被害を受けています。間接被害のうち最も多くの企業が挙げた原因は「計画停電」です。鉄道もJRなどでは平常に戻りつつあるとはいえ、私鉄を中心に依然として影響が残っています。

 日本共産党は混乱を引き起こしている「計画停電」を見直し、東電まかせにせず、大口需要者への総量抑制などによる節電を進めるべきだと政府に要請しています。吉井英勝衆院議員は3月30日、経産省・資源エネルギー庁に対し、原発事故を起こした東京電力に電力供給の義務を果たさせるとともに、供給能力と需要の見通しを詳細に示すこと、電気事業法にもとづいて大口需要者に総量規制をかける「電力使用制限令」の発動を検討するよう求めました。

 「電力使用制限令」は契約電力が500キロワット以上の大口需要者の使用最大電力量の限度などを政令で決め、政府の権限で電気の使用を制限できる措置です。政府も「計画停電」を見直すとともに、「電力使用制限令」の発動の検討を始めたと報道されています。

 東京電力には乱暴な「計画停電」を根本から見直し、住民本位の需給の調整に最大限の努力を払うことが求められます。

 民間研究所のリポートによると火力発電の復旧、ほかの電力会社や鉄鋼など事業者の自家発電の余剰電力の融通などの供給対策と、大口需要者との需給調整契約の活用によって「計画停電」なしでも十分対応できるといいます(環境エネルギー政策研究所)。

 需給調整契約は大口需要者が電力使用の削減に応じる代わりに料金割引を受けられる制度です。最近では柏崎刈羽原発の停止などにともなって電力が不足した2007年に活用し、節電可能な調整電力260万キロワットを確保しています。

抜本的に努力強めて

 この規模で需給調整契約を活用すれば、震災前まで稼働していた福島第1原発の1、2、3号機の合計出力(約200万キロワット)を補えます。資源エネルギー庁によると、現状では需給調整契約にもとづく節電は20万〜30万キロワットにとどまっています。企業に積極的に要請すれば07年を大幅に超える契約の確保も可能なはずです。東電は抜本的に努力を強めるべきです。

 乱暴な「計画停電」のようなやり方ではなく、住民の生命と暮らし、中小零細企業の営業を尊重した電力対策への転換を求めます。





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