2011年4月2日(土)「しんぶん赤旗」

被災患者受け入れ医療機関

診療報酬のしくみ見直しを

支援するほど不利益に


 各地の医療機関で東日本大震災の被災地からの患者の受け入れが進められるなか、受け入れた病院に不利益をしいる診療報酬のしくみが問題になっています。被災者支援の長期化がいわれるもと、改善を求める声があがっています。

 東京都北区にある王子生協病院。震災で透析の機器に支障をきたした茨城県内の病院から、3月13〜14日に急きょ6人の患者を受け入れました。

 王子生協病院の透析のベッドは2床あります。しかし、透析室が狭く、元々入院していた患者の透析で手いっぱいの状況。6人は入院しながら、同じ法人の生協北診療所の外来透析に週3日通って透析を受けることになりました。

 ここで問題になったのが、昨年4月の診療報酬の改定で実施されたしくみです。入院中の患者がさらに専門的な医療が必要になるなど他の医療機関を外来受診せざるをえない場合、入院している病院に払われる入院基本料が3割ないし7割減額されます。

 同病院の酒井孝志副事務長は、「当病院の場合、患者さんが外来を受診した日の入院基本料(1日1万5500円)は3割削られます。どの医療機関もやりくりして被災者を最大限受け入れています。被災者を受け入れれば、病院経営にも響いてしまうというのは、一体どういうことでしょうか」と疑問を投げかけます。

 この問題では、全国保険医団体連合会や東京保険医協会などが「入院中の患者の他医療機関受診の規制の凍結」を、首相と厚生労働相に求めています。

 日本共産党の田村智子参院議員は3月24日の厚生労働委員会でこの問題をとりあげ、政府に是正を求めました。また、被災地で療養病床に急性期の患者を受け入れざるを得ない場合、かかった医療費ではなく定額分しか病院に払われず、病院の持ち出しになる場合があることもあわせて指摘。「積極的に被災者の支援をおこなうほど医療機関が不利益を受ける事態がおき始めています。減額につながる規制を緊急に見直すべきだ」と強く求めました。





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