2011年4月2日(土)「しんぶん赤旗」

追跡 『計画停電』

大口需要家に割引料金

東電は大企業受電規制を


 東京電力は大口需要家と需給調整契約を結んでいます。電力需給が逼迫(ひっぱく)した際、利用者に電気の使用を止めさせることができる契約です。見返りとして割引料金が適用されています。福島原発事故で電力不足の現在、この契約に基づいて大口需要家の受電を規制することが求められます。

 資源エネルギー庁によると、東電と需給調整契約を結んでいる需要家は822。3月30日までに同庁がまとめたところによると、東日本大震災の発生以降、需給調整契約に基づいて受電規制を発動したのは3月11日、14日、17日、18日の計4回です。1回当たりの節電量は20万〜30万キロワットとみられます。

 需給調整契約には、東電が通告したらただちに受電制限を行う瞬時契約と、通告後1時間後または3時間後に受電制限を行う緊急契約があります。受電制限の規模、時間、1年に何回まで受電制限させることができるかは契約によって異なります。受電制限が容易な契約ほど料金が安くなります。

 東電はどの企業、事業所と需給調整契約を結んでいるかを明らかにしていません。過去の報道(日本経済新聞2007年8月23日付)によると日産自動車、ホンダ、三菱電機、新日鉄、住友化学などの大企業が挙がっています。

 契約に定められた受電制限回数を使い切ってしまえば、東電はそれ以上、受電制限をかけられない仕組みです。しかし、需給調整契約を結んだ大口需要家はふだん安い料金で優遇されています。計画停電で一般家庭にしわ寄せする前にこうした大口需要家に負担させることが必要です。(山田俊英)

機械製造、化学、鉄鋼

3業界で884万世帯分

東京電力管内

 東京電力管内では使用電力の3分の2が産業・業務用です。電力不足対策にはこれら大口需要家に対する使用規制が欠かせません。上位3業界の機械製造、化学、鉄鋼が使う電力だけで1日当たり一般家庭884万世帯分にのぼります。主に一般家庭を対象にした電灯契約の契約口数全体(2010年3月末時点)のほぼ3分の1に当たります。

 電気事業連合会統計で09年度実績を基に計算すると、1日当たりの使用電力量が最も多いのは自動車、電機などの機械製造業。4618万キロワット時です。一般家庭462万世帯分に匹敵します。

 次いで化学2471万キロワット時、同247万世帯分、鉄鋼1754万キロワット時、同175万世帯分です。

 パチンコなど遊技事業が使う電力は1日415万キロワット時。家庭数に換算して42万世帯分に匹敵します。

表




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