2011年3月31日(木)「しんぶん赤旗」
元収容所長に終身刑求める
カンボジア特別法廷結審
【プノンペン=面川誠】当地のカンボジア特別法廷で開かれていたポル・ポト政権(1975〜79年)期の収容所長カン・ケ・イウ被告(68)の上訴審が30日、結審しました。検察側は一審の禁錮35年を破棄し、終身刑に処すよう主張。弁護側は公訴棄却を求めました。判決は数カ月後に言い渡される見通しです。
検察側は、プノンペン市内のトゥール・スレン収容所で少なくとも1万2273人を死に追いやった罪の重大性からみて終身刑が相当だと強調しました。
民事当事者(被害者)側は、博物館になっている収容所の入場料を補償事業の財源に充てるなど、具体的な措置を判決に盛り込むよう求めました。
特別法廷規則は、被害者個人への金銭的補償ではなく、「道徳的かつ集団的」な損害賠償請求のみを認めています。
トゥール・スレン収容所で拷問を受けたチュム・メイさん(81)は裁判所前で記者団に、「この裁判がカンボジアに正義をもたらすだけでなく、いまだに政府の暴力で苦しんでいる世界の多くの人々にとって正義の実例となることを望んでいる」と語りました。
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