2011年3月30日(水)「しんぶん赤旗」

主張

2011年度予算成立

大規模補正で復興に総力を


 来年度予算が成立しました。

 大震災が起きたのは、まさに参議院で予算案を審議している真っ最中でした。

 来年度予算は大企業・大資産家への2兆円もの減税と、米軍「思いやり」予算を計上しています。原子力発電所の新増設推進(1110億円)や破たんが明らかな高速増殖炉の経費(402億円)まで盛り込んでいます。こんな予算の強行に道理はありません。

国民的なとりくみで

 直面している被災者の救援、福島原発事故への対応、未曽有の被害からの復興には文字通り国の総力を挙げたとりくみが必要です。救援と復興を支えるとともに、安全な日本をつくるという国民の願いに応える政治への転換が、いまほど切実に求められているときはありません。

 被災地は衣食住や職場をはじめ生活基盤そのものが巨大地震と津波で無残に破壊されました。暮らしに不可欠な住宅、病院、学校、役場、道路、橋、農地、港、商店街など、あらゆるものをつくり直し、農林漁業と中小企業・地場産業を再建しなければなりません。

 原発事故の影響、大震災の社会と経済への打撃は被災地を超えて全国に及んでいます。健康と安全への不安、生産と消費の減少など、日本の経済社会そのものが脅かされています。復興には国民的なとりくみが求められます。

 とりわけ復興で重要なのは生活再建と地域社会・地域経済の再建です。生活再建では被災者への個人補償の引き上げが不可欠です。全壊世帯でも300万円の支給にとどまっている現行の住宅再建支援制度は大幅に拡充すべきです。

 地域社会の再建では、住民の合意で新しい街づくりを進めるとともに、自治体への十分な財政支援が必要です。

 これらを実行するためには、来年度予算を抜本的に組み替える大規模な補正が求められます。

 法人税率の引き下げや証券優遇税制の延長など、2兆円もの大企業・大資産家減税を撤回して必要な財源に充てるべきです。菅直人首相も野田佳彦財務相も法人税減税の見直しを検討する姿勢を示していますが、与党からは「将来の引き下げを確定する」ことを条件にする発言も出ています。復興は1年では終わりません。大企業・大資産家へのばらまきをやめ、復興を最優先にする姿勢が求められます。

 米軍「思いやり」予算やグアム米軍基地建設費、原発の建設・推進経費の計上を取りやめるなど歳出全般を見直す必要があります。

 子ども手当の増額や高速道路の無料化も見直すべきです。10年で5500億円を投入する国際戦略港湾事業をやめて被災地の港湾復旧に回すなど、公共事業予算も転換しなければなりません。

内部留保を役立てて

 国会議員の歳費をカットして復興財源に充てるだけでなく、年間320億円の政党助成金も返上するよう求めます。

 なにより、いまこそ244兆円に上る大企業の内部留保を日本の復興に役立てるときです。そのために政府が「震災復興国債」を発行して大企業に引き受けるよう要請することを提案します。

 被災地の復興を国家的、国民的な事業として進めるために、これまでの枠組みを超えた対策を思い切って実行すべきです。





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