2011年3月29日(火)「しんぶん赤旗」

「女性の会社役員 4割へ」

欧州連合方針 法的措置も検討

各国で賛否論議 波紋広がる


 欧州連合(EU)の執行機関、欧州委員会が域内の上場大企業を対象に女性役員の割合を大幅に引き上げるよう求める方針を示したことが波紋を広げています。欧州各国で賛成、反対の意見表明が相次いでいます。 (片岡正明)


 この方針は、国際女性デー(3月8日)を前にした1日、ビビアン・レディング欧州委員会副委員長(司法・市民権担当)がEU加盟主要10カ国の企業代表を集めた会合で明らかにしたものです。

 欧州での会社役員は、取締役を含む業務執行役員、監査役など。同副委員長は、2015年までに女性役員の割合を30%、20年までに40%に引き上げることを目標に取り組むよう求めました。12年3月時点で目標達成度が低い場合、一定の女性の登用割当を義務付ける法律をEUで検討する考えも示しました。

 「女性幹部の登用が進めば、女性全体の社会進出が進み、男女の賃金格差も狭まる」(レディング氏)という考えに基づくものです。

 これに対し、ラトビアのビケフレイベルガ前大統領(女性)は「労働の質と能力が高い女性にとっては、侮辱的だ」と批判。「幹部への登用は性別、宗教信条、肌の色での差別なく、純粋に労働の質と能力で行われるべきだ」と強調しました。

 独自動車大手ダイムラーの女性役員、アネッテ・ウィンクラー氏も「割り当て制は、有能な男性の登用を阻む、逆差別につながりかねない」と懸念を表明しました。

 一方、ドイツのフォンデアライエン労働社会相は、大企業の役員の30%を女性にする法律を定める考えを示しました。

 オーストリアは、大企業の女性役員登用を13年までに25%、18年前に30〜40%にすることをすでに独自に決めています。しかし、企業の自主的取り組みにするか、罰則も含んだ法律にするかで政府内で意見が対立しています。

 EU加盟国における主要企業の女性役員の割合は、フィンランドがトップで26%、ドイツが13%、マルタが2%などです。





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