2011年3月29日(火)「しんぶん赤旗」

追跡 計画停電

供給力の回復が不可欠

夏の対策が最大の問題に


 東日本大震災、福島原発事故による東京電力の電力不足を解決するためには供給力の回復が決定的です。最大の問題は一年のうちで電力需要が最も大きくなる夏の対策です。東電が明らかにしている現時点の見通しではなお850万キロワット不足します。

 現在の供給力は3700万キロワット前後。東電が25日発表した計画によると、被災した火力発電所の復旧などで7月末までに1000万キロワットの供給力を増やし、4650万キロワットの供給力を確保するといいます。これに対し、7月末時点で予想される1日の最大需要は5500万キロワット。差し引き850万キロワットが不足します。

 東電管内の電力需要は3月末の平日で約3800万キロワット(平日)。夏には冷房で電力需要が大幅に増えます。東電の藤本孝副社長は25日の記者会見で夏の電力不足について発表した際、「東京23区にもご協力いただかざるをえない」と計画停電を拡大する意向を示しました。しかし、停電で利用者に不便を強いる前に、供給の努力を尽くすことが東電に問われます。

 資源エネルギー庁によると、24日時点で稼働していない火力発電所の発電能力はあわせて1603万キロワット。このうち東電が7月末までに稼働させられるとしているのは震災で運転を停止した鹿島火力、定期点検で停止中の品川火力など1220万キロワットです。

 このほか、電力に余裕のある深夜、水を上方の調整池に上げておき、必要なとき下方の調整池に水を流して発電する揚水発電もあります。東電は需給が逼迫(ひっぱく)した場合に素早く対応できる一時的な供給力に挙げています。

 発電しているのは電力会社だけではありません。独立系発電事業者と呼ばれる発電会社や大手鉄鋼会社も発電しており、余った電力があれば売っています。これら業者からの買い取りも必要です。

 周波数の変換の能力向上も求められています。日本の電気は東日本と西日本で周波数が違うため、西日本の電気を東日本に融通するためには周波数の変換が必要です。この設備を持っているのは東電・新信濃変電所(60万キロワット)、電源開発・佐久間周波数変換所(30万キロワット)、中部電力・東清水変電所(30万キロワット)の3カ所です。

 震災による東電の電力不足を受けて中部電力は23日、東清水変電所の周波数変換能力を5月をめどに3万キロワット増加させる緊急対策を発表しています。

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