2011年3月28日(月)「しんぶん赤旗」

2号機 たまり水1000ミリシーベルト超

東電 「1000万倍」の発表訂正


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 東京電力は27日、東日本大震災で深刻な状況が続く福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)2号機のタービン建屋地下にあるたまり水の表面で26日測定した放射線量は1時間当たり1000ミリシーベルト以上だったと発表しました。今回の事故で引き上げられた作業員の被ばく限度250ミリシーベルトを15分足らずで上回ってしまう強さです。測定者は大量被ばくを防ぐため、途中で作業を中止し退避したといいます。

 一方、1〜4号機の放水口から南へ約330メートル離れたところで26日午後2時30分に採取した海水から法律に基づく濃度限度の1850・5倍に相当するヨウ素131が検出されました。25日午前8時に採取した海水からは1250・8倍のヨウ素131が検出されており、大幅に上昇しました。

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 ヨウ素131の半減期(量が半分になる期間)は8日ですが、1〜3号機のタービン建屋地下のたまり水や周辺の海水から高濃度で検出されています。また、タービン建屋地下のたまり水からは原子炉内の核燃料が壊れたりしないと出てこないセリウム144のような放射性物質が検出されています。

 このため、各号機のタービン建屋地下で見つかっている高濃度の放射能汚染水や、周辺の海水の汚染は、原子炉内で核燃料の損傷が進み、その結果、さまざまな放射性物質で汚染された原子炉の水がどこからか漏れ出しているのではないかと指摘されています。

 2号機は14日から15日にかけて原子炉の水位が大幅に低下し、燃料棒が損傷。15日朝には爆発で原子炉を覆う格納容器の一部である圧力抑制室が一部破損した可能性が高いとみられています。

 東電は27日午前、2号機のタービン建屋地下のたまり水に含まれている放射能の濃度は、通常運転の原子炉内の水の約1000万倍に上ると発表しました。半減期が約53分のヨウ素134の濃度が水1立方センチ当たり29億ベクレルあったとしていました。

 しかし、夜9時になって、半減期が約77日のコバルト56とヨウ素134を取り違えたとして午前中の発表は誤りだったと説明。水1立方センチ当たりの放射能濃度は、通常運転中の原子炉の水の10万倍になると訂正しました。東電は再調査を進めています。

 放射性物質に詳しい専門家は、「運転を停止しているのに半減期が約53分のヨウ素134の濃度が29億ベクレルとなったら、異常な事態だと考え、間違いである可能性も含め、その理由をいろいろ考えるはずなのに、検討もせず発表してしまうのはお粗末としかいいようがない」と批判しています。


 ベクレルとシーベルト ベクレルは放射能の強さを表す単位で、数値は1秒間に崩壊する原子核の数。人体への影響はこの数値に一定の係数をかけてシーベルトで表します。





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