2011年3月27日(日)「しんぶん赤旗」

民主化のうねり シリアも

政治的自由求め 反政府運動拡大


 半世紀近くバース党の一党支配が続く中東のシリアで、政治的自由を求める反政府デモが全国に広がる傾向にあります。金曜礼拝が行われた25日には、デモは首都ダマスカスをはじめ複数の都市で行われ、各地で治安部隊と衝突しました。中東アラブ諸国で広がる民主化のうねりがシリアにも及びつつあります。(カイロ=伴安弘)


 報道によると25日、南部の町サナメインでの反政府デモに治安部隊が発砲し、20人が死亡。この日の死者は全国で少なくとも23人にのぼりました。

 また23日に同じく発砲で多数の死者を出した南部のダラアでは、数万人がその葬儀に参加し、「自由を」と叫んで行進。市中心部の広場に建てられたアサド前大統領の像が反政府デモ隊によって引き倒されました。

 同市の弁護士イブラヒム氏は「恐怖の壁が崩された。政権打倒に向けた第一歩だ。もはや引き返せない地点に来た」と、ロイター通信に語りました。

 また北西部のイドリブではバース党事務所が放火される事態になっています。そのほか東部のデリゾール、中部のハマ、西部のバニヤスなどでも強権支配に抗議するデモが行われました。

 シリアでは1963年以来、非常事態令が敷かれており、政府批判のデモは極めてまれ。これに挑戦する形で16日、首都ダマスカスで150人余りが政治囚の釈放などを求めてデモを行い、10歳の少年を含む35人が逮捕されました。

 これに対し、ダマスカス、ダラアなど数都市で数千人が18日、「怒りの日」の集会を決行。23日にはダラアで数百人の青年のデモ隊に治安部隊が発砲し、少なくとも37人が死亡しました。国際人権組織によると過去1週間の同市の死者は55人にのぼっています。

 63年のクーデターでバース党一党独裁となったシリアでは70年のアサド国防相(当時)のクーデター後、同氏がバース党と治安組織の二つを使って強権政治を続けてきました。2000年に父を継いだバッシャール・アサド現大統領は就任直後、政治囚数百人を釈放し、政治改革を約束しましたが、その後、独裁政治は強化されました。

 外交的には反イスラエルの立場で、パレスチナのイスラム武装抵抗組織ハマスやレバノンのシーア派組織ヒズボラを支援。米国はシリアを「テロ支援国家」に指定しています。





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